空っぽの財布

 バス停のベンチに座ろうとした時、黒い財布が落ちているのを見つけた。拾って中身を確認すると、空っぽだった。何故か少し悔しく思ったが、中身があったとして喜べる人間でもないだろうに、と自分で苦笑する。

 財布は元の位置に戻し、バスを待つことにした。ベンチには座らなかった。早く君に会いたい。

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