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「うーん…もう少し大きくて深い皿が良いなぁ…」
「すみません、当店ではこれ以上の大きさは…」
店に並べられた皿を手に取って確認しながら注文をつける彼女に店員が謝った。
「だよね…しょうがない、じゃあコレだけでいいや…あとは業務用を買うから」
「お買い上げありがとうございます」
彼女はため息を吐いて手に持ってる皿をカウンターに置いて金を払い商品の入った紙袋を受け取って外に出る。
「業務用専門店は…っと……あっちか」
皿の入った紙袋を袋に入れ、彼女は店を探しながら街を歩く。
「…君も何か買いたい物があるのなら買って来るといい」
「いえ、大丈夫です」
街の外の木の上からストーカーのように双眼鏡で彼女を見は…見守る青年が下にいる女の人に提案するも直ぐに断られた。
「ところで…何をしてるのですか?」
「彼女が危ない目に合った時に直ぐ駆け付けられるように見ているんだ、流石に魔物を外に置いて何かあったらと思うと一緒に中には入れないからな」
「はあ…」
青年の返答に女の人は木の裏側で伏せってる魔物を見て納得出来てないような感じで呟いた。
「…本当に、あの少女の言う通りにするつもりですか?」
女の人は少し考えると木の上の青年に問いかける。
「さあな、どの方法を取るかは政府が決める事だ…だが一つしか無かった方法が二つに増えただけでもありがたい事だろう?」
「それは…そうですが…」
青年が笑いかけながら問い返すと女の人は歯切れ悪く返す。
「…政府がどちらの方法を取るにせよ、結局あの街は騎士団の失敗で滅びた事になるのかもな…」
双眼鏡を覗きながら青年がポツリと零した。
「…私には理解出来ません!あの街の人々を元に戻す代わりに、魔物の住処として街の半分を提供しろ…だなんて…!」
「…彼女が望んでいるのは魔物と人間の共存による平和な世の中なんだろう、君にもいずれ分かるさ」
困惑したように言う女の人に青年が木から下りて肩をポンと叩く。
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