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「さて、追いかけるか…」
「ウォフ!」
青年が走り出そうとすると魔物が伏せって吠える。
「おお、運んでくれるのか…ありがたい…ってうおっ!?」
魔物の意図を理解出来た青年が背中に跨(またが)るや否や魔物が走り出す。
突然の行動に青年はバランスを崩し危うく振り落とされるところだった。
「ウォフ!」
「…え?なに?」
「に、荷物持ちとして…一緒に…行かせてくれ…」
山の中腹を歩いていた彼女が突然現れた魔物に驚くと顔を真っ青にした青年が背中から下りる。
「…大丈夫?」
流石(さすが)の彼女も体調悪そうな青年を見て心配そうに声をかけた。
「あ、ああ…馬と違って、予想外…でな…」
フラフラとした足取りで歩きながらも彼女に心配はかけまいと青年は無理やり笑う。
「…まあそこまでして来たんだから無理やり追い返せないけどさ…体調悪いんなら帰ったら?」
「…大、丈夫だ…少しすれば…」
珍(めずら)しく彼女が気を使うも青年は止まる事なくフラフラと山道を下る。
15分後。
「ふう…もう大丈夫だ」
「なんで魔物に乗ったの?」
「いや、乗れと言わんばかりに伏せってたから…」
「ふーん…まあ進歩してるのかね」
彼女は青年に疑問を聞くも返答を聞いてどうでも良さげに呟く。
「ところで、どの街に……あれは…っ!?」
青年が彼女に問いかけようとすると麓に差し掛かった所で倒れてる人を発見した。
「何故ここに…!おい、大丈夫か!?」
倒れてる人の格好を見ると青年が慌てたように呟き、急いで駆けつける。
「…う……やはりココに…間に合っ、た…」
青年が『騎士 Lv16』と表示されている女の人の上半身を起こすと少し呻いて目を開け、青年の顔を見ると安堵したように呟いた。
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