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「さあ?朝から見てないが…」
「ふむ…もしかしたら畑にでも行ってるのかも知れない…少し探して来よう」
「あ、おい!」
どうせ厄介者扱いされて鬱陶しがられるだけだぞ!という男の注意をよそに青年は走り出す。
「…やれやれ…魔物がいるから危険は無いというのに…」
男は呆れたように肩を竦めて呟くと袋から本を取り出した。
そして木の影の真下に腰を下ろして読み始める。
「てーれれー♪……ん?何しに来たの?」
「いや、ランニングしてたら通りがかっただけだ」
畑で口ずさみ収穫作業をしてる彼女の所に青年が走って来た。
「ふーん?まあ頑張って」
青年の言い訳染みた返事に彼女は怪しがりながらもスルーする。
「ああ……ところで、なぜ今朝の朝食は作り置きだったんだ?」
青年は走り出そうとしてふと思い出したように疑問を口にした。
「…なに?文句?」
「いやっ、違っ…!ただ珍しいから気になっただけで…!」
不機嫌そうに睨んできた彼女に青年は慌てて弁明し始める。
「…ただ単に収穫時間の都合上だよ」
「そ、そうだったのか…では」
彼女の返答に青年はホッと胸を撫で下ろしたような仕草(しぐさ)をして、手を上げ走り去っていく。
「…なんだったんだ…?」
彼女は青年が走って行った先を怪訝そうに見ると籠を背負って家に戻った。
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