第516話 ◆アリシアの大冒険(その27)
◆アリシアの大冒険(その27)
OK、ララノア大丈夫よ。 あの村に人はいないわ。
よかった。 それじゃ、ひさびさに姉妹二人で派手にいきますか。
そう言って、ララノアは姉のヴォルルに向かって、お茶目にウィンクをして見せた。
***
アレッタ(ヴイーヴル)は、村に人っ子一人居ないと知るや怒り狂った。
ディアから受けた三本の矢は、復活したヴイーヴルの魔力の大半を奪ったため、本体の維持ができていない。
やむを得ず復活のために吸収したアレッタの姿になり、人々を飲み込みながら再び元の力を取り戻そうとしている。
だが、肝心の村人がいない。 ならば、人間を探し出すまでだ。
アレッタ(ヴイーヴル)は、風上に向かって首を伸ばすと、人間のにおいがする方角を嗅ぎ分けた。
ふふん あっちか!
!!?
においのする方へ歩きだしたアレッタだったが、不意に地面に映る二つの影をみつける。
その影は、上空からアレッタ目掛けて突っ込んで来るヴォルルとララノアだった。
ちっ! 邪魔なやつらめ!
ちょうどいい! お前らを喰らえば、必要な魔力をいっきに得られるわっ!
アレッタ(ヴイーヴル)の目が爬虫類のそれに代わり赤く輝きだす。
そして温存していた残りの魔力をいっきに開放した。
ヴイーヴルに最初に攻撃を仕掛けたのはヴォルルだった。
右手に魔力を籠め、魔力弾をヴイーヴル目掛けて連射して行く。
だが、それをヴイーヴルはいとも簡単に四方へ弾き返してしまう。
ふっ そうこなくっちゃ、面白みがないわよ~。 ヴォルルは相手が強い方が嬉しいらしい。
それを見ていたララノアは、得意の氷結魔法を詠唱し始める。
ララノアったら、いきなり最大級の氷結魔法とは、やるわね~。 でも止めはあたしにとっておいてよー。
「千の氷の精霊たちよ! 我要請に従い、かの者を永遠の眠りへ誘
いざな
え! フリージングアローーーー!!」
ララノアの氷結魔法は、敵が逃げても迎撃ミサイルのように相手を追尾する。
アレッタ(ヴイーヴル)もララノアの攻撃から逃れようと高速で移動しまくるが、ついに右肩に被弾する。
直撃ではなかったため、右肩から徐々に体が凍り始め、アレッタのその動きも少しずつ鈍って行った。
アリシアの氷結魔法もヴイーヴルに対して有効だったように、ヴイーヴルの弱点は氷系魔法だった。
魔竜とはいえ、所謂巨大な爬虫類であり、体温が下がれば当然動きが鈍くなるのだ。
あらあら、もうおしまいなの。
今度はヴォルルが最大級の雷撃魔法を放つべく、両手を前に突き出して巨大な光球弾を出現させる。
観念しなさい! これで最後よ
バリ バリ バリッ
空気を引き裂く大音響とともに10臆ボルトを超す電圧がアレッタ(ヴイーヴル)を貫いた。
ブスブスと肉が焦げる音と強烈な臭いが辺りに漂う。
黒焦げになったアレッタは、しばらくその場に立ち尽くしていたが、やがてドォッという音を立ててその場に突っ伏した。
やったーー! さすがヴォルルおば様! すっごーーい!
遠くで見ていたアリシアが、両手をあげて駆け寄って来た。
あっ! アリシア、だめよ! こっちに来ないで! ララノアがアリシアを制止するが、もう遅い。
アリシアの目の前で、突然アレッタが起き上がり、巨大なヴイーヴルの姿に変わって行く。
アリシアーーー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます