第423話 ◆子猫ちゃんデビュー

◆子猫ちゃんデビュー


毎朝、子猫ちゃん用の新鮮な食料を確保したあたしは、これ以上子猫ちゃんを隠す必要もないし、何れ近いうちにシルフやメイアにバレることも考えた上、子猫ちゃんをみんなに紹介することにした。


しかし、紹介するには問題が二つあった。  それは、子猫ちゃんの溢れ出るエロス対策をどうするかということと、子猫ちゃんの名前だ。


あたしは、子猫のころから育てているので問題なかったけど、みんなが子猫ちゃんと呼ぶのはおかしいだろう。


なにか良い名前を付けてあげなければならない。


メイアやニーナやけいちゃんは、あたしが名付けた。  こんどで4人目である。


う~ん  どんな名前がいいかなー。  アンナ、ジュリア、リン、ベル・・


猫の首には鈴・・ 鈴は英語で bell ・・・  うん決めた!  ベルちゃんがカワイイ!



あとは、エロス対策ねー・・・  これは、少々ダサい服を着せておけば何とかなるかな?


試しに白Tシャツにオーバーオールの組み合わせはどうだろう?


うん、これなら体のラインとかオッパイはあまり気にならないし、いいかもだよね。


あたしは、自分が持っていたオーバーオールのお尻にしっぽ用の穴をあけて周りをかがった。


久しぶりに裁縫をやったので、針でゆびを3回も刺してしまった。


・・・


子猫ちゃんは夜行性なので、いつもは夕方近くまで眠っているんだけど、今日は夕食の前にみんなに紹介しようと思っている。


なので、今日はお昼過ぎに起こして、用意したTシャツとオーバーオールを着せた。


今は一着しかないので、明日は午前中に商店街に連れて行って洋服を買ってあげよう。


いい、子猫ちゃん。 今日はあなたのことをみんなに紹介しようと思ってるんだ。


はい、ママ。  お友達ができるの嬉しいわ。


それでね、名前なんだけど子猫ちゃんだとまんま猫みたいだから、今日からはベルちゃんに改名しましょう!


ベルですか?


そう、ベルちゃん。  どうかしら?


はい♪  気に入りました。


よし!  それから注意して欲しいんだけど、ベルちゃんがサキュバスだってことは、まだ秘密にしておいて欲しいんだ。


はい。  でも、コリンさんとかルイさんは、あたしのことを知っていますよね。


ああ、あいつらはベルちゃんの素性は絶対に漏らさないから安心していいよ。  てか、絶対話せないだろアイツら!


それじゃあ、夕食の前にみんなに紹介するからね。


わかりました。 それじゃあそれまで寝ててもいいですか?


うん。 時間になったら起こしに来るね。


はい♪



・・・


そして、夕食前。 みんながダイニングに集まって来た。


あたしと隣に座っている子猫・・いやベルちゃんをさっそく見つけてみんながベルちゃんの周りに集まり始める。


この娘いい匂いがする~  鼻が良いメイアがベルちゃんの匂いをスンスン嗅ぎ始める。


やだ、何時ぞやの警察犬ごっこみたい。


あたしには、まだ匂いは感じられないけどメイアやシルフは嗅覚が鋭いからなあ・・・


全員が食卓に着いたちころで、ベルちゃんを紹介した。



じゃーん。 この娘はベルちゃんです。 今日からみなさんと一緒にこのお城で暮らすことになったのでよろしくお願いしま~す。


えっと、ベルです。 よろしくお願いします。


あたしは、すかさずコリン君とルイの顔を横目で見る。


ふへへ  二人とも顔を赤くして俯いてるぞー。  あとで少し揶揄ってやろっと!


あなたも猫族なの?  アリシアがベルちゃんの耳としっぽをしげしげと見ながらベルちゃんに聞いた。


あーー まあ、そんなものかな。  アハハ


ちょっと。  セレネなんかに聞いてないわよ!  あたしはベルちゃんに聞いてるの!


ベルちゃんは恥ずかしがり屋さんなの!  あたしの娘みたいなものだから代わりに答えたんじゃない!


ママ、あたしのことで喧嘩しないで。  ベルちゃんがあたしの袖を引っ張って悲しそうな顔をした。



ママ?  その一言に全員が一斉に反応する!


なに?  ベルちゃんってセレネの隠し子だったの?


いや、ちがっ・・


まさか・・猫族の男と交尾したんですか!  ミミさんがすぐにでも シャーー と威嚇して来そうな勢いだ!


いや、だから違うって!


ママ、見損ないました。


ニーナ、違うんだって!


サレネさま、あとでお話しがあります。


なんで、サリエルまで?


セレネ、あたしもゆっくり話しがしたい!


いや、だからシルフ誤解だって。



この後、あたしが誤解を解くのに3日ほどかかり、その後まる2日寝込んだのだった。




***


ねえ、この話しってあたしが主人公だよね!


まあ、一応そうですけど・・


じゃあさ、なんで毎回あたしが酷い目に遭うのかな?


だって、その方がPV数が増えるんだもん。


死ね!


ガッ 


グェ

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