第387話 ◆ティアの猫耳

◆ティアの猫耳


ねえ、ねえ。  ティアってシッポなんてあったっけ?


ああ、これですか?  実は耳も本当はこんなんです。


ボワンッ


しょえーーー 耳が生え変わった!   しかもこれって、猫耳じゃないの。  カワイイーーー。


あたしがティアの猫耳を触ろうと手を近づけると耳がフルッフルッと動いて触れない。



あのですね、あたしの国の学者たちの研究によると、この星の猫獣人とあたしたちはDNAが99%一致するらしいんです。


ほうほう、それで?


もしかしたら、あたしとルイの祖先がこの星の猫獣人と同じ可能性があるかも知れないってことですね。


えっ?  どうゆうこと?


大昔にこの星にやって来た異星人がサンプルとして持ち帰った猫獣人が、別の星で逃げ出して進化したのが、あたし達の祖先って説です。


ふ~ん 


まあ、仮設の内の一つに過ぎないのですけどね。



あれっ?  アリシアとルイがいない!


ティアのシッポのことを聞いていたら、アリシアたちを見失ってしまった。


お兄さま・・・  いったいどこへ・・・


心配しなくても大丈夫。  あたし、この商店街のことは詳しいから。


食いしん坊のアリシアが次に行くところなんて、バッチリお見通しよ。  (実はあたしが行きたいお店なのだけどねー)



こっちよ。 行きましょ!


あたしはティアの手を取って、この商店街で一押しのパン屋に向かうことにした。


パン屋といっても、ケーキや焼き菓子も売っていて、実はこれも絶品なのだ。


この時間はちょうど焼きたてのパンが並ぶので、例えアリシアたちが居なくても寄るつもりだったし、いつも買い物に一緒について来るアリシアが立ち寄らないハズがない。



あっ、ほら。  あそこにいたわよ。


あたしがゆびを指した方を見て、ルイを見つけると我慢の限界がきたのかブラコンのティアが駆けだした。


ティア、待って!  あ~あ まったく仕方がない娘。  あんな兄貴のどこがいいんだか・・



あたしがティアに呆れていると突然後ろから誰かにハンカチで鼻と口をふさがれた。


うぐっ  ううっ


あたしは必死で振り解こうとしたが、おそらく屈強の男なのだろうか、がっしりと体をホールドされピクリとも動かせない。


スゥー


あれっ?  なんかいい匂い・・・  なんだか頭が、ぼぉ~っとする・・・ それに体に力が入らない・・


ああ、なんか気持ちよくなって来た。



さあセレネさん、これを着てあたしと一緒に来るのです。


はい・・



・・・


アリシアさん。 もういい加減に、お兄さまを解放してあげてください!


いやよ!  まだ、3日も経っていないじゃない。  ゲームで負けたくせに何を言っているの!


でも、セレネさんが、いかさまじゃないかって言ってました。


なっ!  ななな、なにを根拠にそんなことを言ってるのかしら?


それは、セレネさんご本人から聞いてください。


セレネさん・・・  あれっ?  さっきまで一緒に居たのにどこに行ったのかしら?


ほら、あたしがいかさまなんてしてないから、ばつが悪くなって逃げたんじゃなくて!


え~ そんなー



さてさて、セレネは見事に捕まっちゃいましたね~  これは大ピンチなのかも知れません。


で、次回続く・・・

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