第377話 ◆殴り込み

◆殴り込み


あれから2か月が経った。


そしてお城の中は、ヴォルルさんだらけになっていた。


あーー もう!  セレネ、なんとかしなさいよ!  うるさくて寝れやしない!


そだねー   ←もう、すっかり諦めているセレネ


ねえ、セレネちゃん。 早く天界に行って、ちゃちゃっとやっつけてしまいましょうよ!


そだねー  


あらあら、セレネちゃんがやる気がないなら、あたしたちだけで行ってこようかしら。



それはダメだよ。  戦争は悲しみと憎しみしか生まないんだ。 ← 一度言ってみたかった


でも、放っておいたら、むこうから攻めてくるわよー。


うん、ヴォルルさんそれは分かってる。  なんとか戦わないで済む方法はないのかなって・・・


つまり、あいつらの言う事を飲むってことかしら?


いや、それは絶対にイヤ!


セレネちゃんって強情だものね。  あたし、そういうところ好きよ♪




それじゃあ、こういうのはどうかしら。


セレネちゃんと、あたしたち200人で天界に殴り込みをかけるの。


ええっ 親分出入りですか?


まあ、脅しってところね。


ワルキューレが出て来たら、可愛そうだけど全力で痛めつけて、あたし達にはとても敵わないって悟らせるのもありね。


さすが親分、あたしもちょっと怖いです。


あらあら、先頭は女王さまに決まってるから、親分はセレネちゃんよーー。


どひゃーー


まあ、あちらがビビれば戦わないで済むと思うけどねー。


そうだね。ヴォルルさん。  何れにしてもここまで来たら、売られた喧嘩は買わなきゃだよね。


よし!  それじゃあ明日の朝、殴り込みに出発するぞーーー!


・・・



セレネさま、どうしても行くのですか?


サリエル心配しなくても大丈夫だよ。  でもさ、万が一のことがあった時は、けいちゃんを頼むよ。


はい。



ヴォルルさーん  そろそろ出発するよーー。


はーい  お・ま・た・せ。


あたしの目の前には、ヴォルルさんが一人だけ立っている。


あれ? ほかのヴォルルさんたちは?


いやね。 ここよ、ココ!


そう言いながらヴォルルさんは、自分の胸を軽くたたいた。


つまり、200人のヴォルルさんが合体したと・・・


それは、恐ろしいですね。  まるで、アンゴルモアの大王を甦らせる恐怖の大魔王みたいですよ。


ホホホッ


さすがに200人だと目立っちゃうからねー。


敵が侮ってきたところで、バァーーンと200人に分裂して、恐怖を味合わせてあげるのよ。  すっごい楽しみでしょ?


ヴォルルさん、本物の大魔王みたいですよ。


オホホ  じゃあ、セレネちゃん。 行くわよ~♪


へ~い。


・・・


天界の近くまでは、メイアに乗せて行ってもらう。  なるほど、200人が合体していなければ、メイアには乗れてないや。


ねえ、ヴォルルさん。


なあに、セレネちゃん?


ヴォルルさんの本体を見分けるのって、どうしたらいいんですか?


そんなこと、どうして知りたいの?


いや、どのヴォルルさんに話しかけても答えは一緒なのかなって。


もし違うんだったら、本物っていうか本体のヴォルルさんに聞きたいと思って。


その答えなら、どのあたしに聞いても99%は同じね。


残りの1%は?


それは、経験したことの差が出るのよ。  情報の共有までには若干のタイムラグがあるからね。


例えば、今サリエルを見たあたしと知らないあたしなら、サリエルのことを聞かれたらどう?


ああ、なるほど・・・ そういうことですか。


そうよ。 パワーの差なんて関係ないのよ。  全てがあたしなのだから。



セレネちゃん、そろそろ着くわよ。


はい!  気合を入れます。




さて、いよいよ敵陣に殴り込みですよ。 はたしてこの日が天界最後の日になるのでしょうか?

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