第222話 ◆いやっ ヴォルルさん、もうやめてください(その1)

◆いやっ ヴォルルさん、もうやめてください(その1)


ヴォルルさんに遊んでもらったあたし達だったが、なぜか遊んだあとの満足感がいまいちだった。


そう、楽しいというよりも疲れた~という感想しか思い浮かばないのだ。


でも、体を思いっきり動かせたことで、陸に上がったという実感が湧いて良かったとは思う。


そして、ヴォルルさんに分けてもらった魔力によって、あたしも魔法が使えるようになった。


これは結構、嬉しかったりする。


なにせ、空も飛べたし炎も出せたのだから。


いままでメンバー最弱だったけど、コリン君に魔法を習えば案外ナンバー2くらいならいけるかも知れない。


ウフフフフ



こっちの世界で生きて行くには、魔力は結構役に立つだろう。


いままでは、シルフやメイアやニーナに助けてもらうばかりだった。


これからは、自分の身は自分で守れそうだし、反対にみんなのことを守ってあげられる。


やっとお母さんぽくなれたというか、なれそうな気がする。


・・・


真ん中の島に滞在するのは、あと4日だ。


せっかくだから、もっと遊んでみたいな。


そう思ったら自然とヴォルルさんのお店に足が向いていた。


お店に入ると、前に来たときにヴォルルさんを呼んで来てくれた店員さんと目が合った。


セレネさん、いらっしゃい。


こんにちは。 あの~


あっ、ヴォルルさんは、いまお得意様の対応をされていますので、あちらの部屋でお待ちください。


はい。 ありがとうございます。


この部屋でいいのかな?


店員さんが、右手で指し示した方をみるとドアが3つ並んでいる。


あ、あの~


もう一度店員さんの方を見ると、もう店員さんはいなくなっていた。



一番近くのドアの前まで行くとドアに「B」というプレートが付いている。


残りのドアも見てみると、「W」、「H」と同じようにプレートが付いていた。


これは、何か意味があるのかな?


・・・


時間は少し前に遡る。


来た 来た セレネちゃん来たーーーっ!


大はしゃぎしているのは何を隠そう、ヴォルルさんである。


この人はハッキリ言って暇を持て余しているのだ。


塔のてっぺんの部屋から双眼鏡を覗いていて、歩いて来るセレネを発見した。


昨日の今日でセレネちゃんに会えるなんてラッキーだわ。


こうしちゃいられない。 直ぐに罠を仕掛けなくっちゃ♪


なにやら本当に楽しそうである。


そして、罠を仕掛け終えたヴォルルさんは、店の店員に化けたのだった。


・・・


以下、変態ヴォルルさんの独り言です。



昨日のバドミントンのコスチュームは、ほんとうに可愛かったわ~。


セレネちゃんは、どのお部屋を選ぶのかしら、ほんとうに楽しみ~。


「B」の部屋はバストアップ、「W」の部屋はウエストのシェイプアップ、[H」の部屋はヒップアップなのよ~。


って、結局セレネちゃんの体を触るのが目的なんだけどね♪   てへっ。


・・・


え~と  普通なら一番手前の部屋だよね。


コン コン コン


はい、どうぞ。


すみません 失礼しま~す。


あたしは、「B」のプレートが付いた部屋に入った。


すると中には、白衣を着た女性がいた。


どうぞ、椅子におかけください。


はい。 ありがとうございます。


それじゃ、服を脱いでください。


はっ?  いま何て?


だから、診察するので服を脱いでください。 


あ、あの・・ あたし部屋を間違え・・


ぐぐっ


あっ  何をするんですか!


いつの間にか後ろに白衣を着た二人のナースが居て、あたしは腕を取られブラウスをたくし上げられてしまった。


それじゃ、ブラも外しますね。


ブルンッ


あああっ


はい、息を吸ってぇーー


スゥーーー


はい、吐いてぇーー


ふぅーー


ってか、診察ってなんの?



こ、これはマズイですね。  このままでは、十代のうちに大変なことになってしまいますよ!


な、なにがですか?  あたしは急に不安になる。


明日から5日間休診ですが、今からならまだ対応できますよ。


今直ぐに治療することをお奨めしますが、どうされますか?


5日間休診じゃ、今日中に治療しないと出航しちゃうわ。


は、はい。  お願いします。 



それでは、服を脱いでそちらの診察台の上に仰向けになって寝てください。


不覚にもあたしは、全く疑いもせず言われるまま診察台に上がってしまったのだった。

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