第95話 ◆バカンスなう

◆バカンスなう


あたしが宿に戻ると心配していたみんなが一斉に集まって来ていっぺんに喋るものだから、何がなんだか分からない状態になる。


説明すると長くて難しくなるし、とりあえずあまり詳しいことを言わない方がよいと思ったので、女王さまと仲良くなった事だけを話しておいた。


もう海龍殺しのセレネと呼ばれることも無いし、WANTEDでもない。


今日の夕ご飯は、5杯は食べるぞーーっ!

昨日までの暗かったあたしは、一変してハイテンションだ。


ねえ、せっかく犯罪者でなくなったことだし、あたしどこかに遊びに行きたい!  長い航海で体も鈍なまっちゃったし、みんなはどう?


遊ぶというWORDに、メイアが食いつかないわけがない。  真っ先に行く行くと、あたしに抱き着いてきた。 この甘えん坊が!


シルフはメイアに対抗心を燃やすというか、すぐに嫉妬するので、これまた賛成である。


エイミーとリアムも恋人どうしの関係なので、デートできるなら喜んで付いて行くと言う。


モッフルダフは商売が忙しいので遠慮するというが、おっさんは端はなから対象外だ。 ごめんね。



ということで、大陸一の王国である、女王さまの超豪華な別荘をお借りしました。


裏側には山と湖、別荘の正面にはあたし達が渡って来た広大で真っ青な海が広がっている。


そして正面には白い砂浜と、ビーチバレーコート、横にはテニスコートとバスケットゴールなどがある。

さすが、まりあ先輩。 あっちの世界観が感じられる設計だ。


先輩は、あたし達のために王室専属の料理人も用意してくれていた。  ほんとうに、いたれり尽くせりの待遇で感謝感激である。


・・・

・・


なんていうことはない。 女王さまも参加したかったのだ。


あたしたちが別荘に着くと、なんと女王さまが出迎えてくださった。  つーか、まりあ先輩なにしてるんですか?


あら、あたしだって、休養をとることくらいあるわよ。  それに可愛い後輩のためですもの。 うふふ。


おー 遊ぶ気満々だな。 17歳から22歳まで、こっちの世界で苦労されてきた事を思うと少し可哀そうにもなる。


わかりました。 まりあ先輩、倒れるまで遊びましょう!



1日目


・起床

・浜辺でビーチバレー

・海水浴    キャッキャ ワイワイ

・昼 BBQ  肉うっま!

・お昼寝(日光浴)

・テニス    エイミーとリアムがラブラブー

・海水浴    まりあ先輩の乳  ごくりっ

・ディナー


2日目

・起床

・湖でボート遊び   途中から撃沈ごっこと化す

・コテージで読書   

・みんなでカレー作り 水っぽい?  いやスープカレーだから 誤魔化す

・湖水浴       まりあ先輩  超ハイレグ

・キャンプファイヤー メイアとシルフ 自分でファイヤー

・肝試し       リアム絶叫

・ディナー


3日目

・起床

・お弁当作り大会    闇鍋を思い出す

・山登り(ハイキング) 途中で飛ぶやつ(反則やん)

・お弁当交換会     メイアのゲロマズ大外れ

・ボードゲーム大会   何回やっても貧乏農場って

・ディナー


4日目

・起床

・テニス      エイミーとリアムがラブラブー

・ランチ

・温泉(露天風呂) 全裸混浴 リアムがモジモジ

・卓球大会     まりあ先輩なんと3位

・ディナー


楽しいバカンスは、こうして最終日を迎えた。


う~ん  楽しかったーー  いっぱい遊んで、なんだか生き返ったよな気がするーーー!


セレネさんのおかげで、わたしもとっても楽しかったわ。  やっぱり帰りたくなっちゃたな・・・自分の家・・


まりあ先輩が、そう言って悲しそうな顔を見せる。

あたしもつられて、泣きそうになる。  でも、あたしはまだ自分の家や家族の事はよく思い出せない。


どうやったら帰れるんでしょうね?


まだまだ時間がかかるかも知れないし、このままかも知れない。  でも希望を捨てるのはダメよ。

いつか帰れると信じましょう。  そして二人で力を合わせて、絶対に帰りましょう!


まりあ先輩・・・


しんみりしていると、お城からお迎えがやって来た。  


また、遊びましょうねと言って、まりあ先輩はボディーガードと一緒に馬車でお城へと帰っていった。


まりあ先輩、日焼けした水着のあとが、ドレスからまる見えっスよ。


どう見ても渋谷のギャル見たいだぞーーー  遠くなって行く馬車に向かって、あたしは叫んでやった。


あたし、絶対寂しくなんかないもん!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る