第90話 ◆やっちまった!

◆やっちまった!


あたし達が目指している大陸には7つの王国があり、2、2、3の組み合わせで同盟を結んでいるらしい。


その中で一番大きな国は海洋大国でもあり、その国の守り神というのが、あたしとシルフが大砲でぶっ飛ばした海龍だった。


もともと海龍は数が少なく、その国が中心となって手厚く保護していたのだった。


おまけに、あたし達が釣りをしていた海域は禁漁区であったのと、釣り上げていた魚が海龍の好んで食べる魚で、それをあたし達が横取りしたことで海龍が怒って襲ってきたようだった。


これをモッフルダフから後出しで聞かされて、全員でどうしたものかと今マジで悩んでいる。


いっそのこと、この船を借りてあたし達だけ島に引き返して、そこで永久にひっそりと暮らそうかとも考えてみる。


だがそれでは、あたしが居た世界には一生帰れない。  あたしは、そんなのは絶対に嫌だ。

では、いったいどうすれば良いのだろう。


仮に島に戻ったところで、もし海龍が死んでいたりしたら、犯人を捕らえて死刑にするために軍隊をも送り込んでくるだろうとモッフルダフは言う。


たぶん海龍は死んでると思うんだ。 大砲の玉は2発とも見事に命中したし、血もドバドバ出てたもん・・・


それなら、シカトという手があるじゃんとか思ったら、出航する時には行先や大まかな航路、日程などを港の管理所に届け出ているので、直ぐにバレルそうだ。


あたしは、船室のなかを何か良いアイデアがないか考えながら、グルグルと回り続けた。


状況を振り返ってみても、エイミーとリアムは禁漁区で釣りをしただけだし、実際には魚を釣り上げていない。


で、あたしとシルフは、やっちまったじゃないか!  あ゛ーーー いつもこうだ!  なんで、あたしだけ何時もついてないんだ。


おみくじを引けば、たいてい凶が出るし、運動会も遠足も雨!  バスや電車も目の前で発車するし・・・


なんだか嫌なことばかり思い出して来る。 今日はもう考えるのはやめて寝よう!


明日になれば、何か良いアイデアが浮かぶかも知れない。


ああ、今日も青い月がきれいだなぁ・・・

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