第80話 ◆セレネ落ち込む

◆セレネ落ち込む


セレネはベッドの上で、目を覚ました。 ベッドの両脇には、シルフとメイアがセレネの手を握ったままで眠っている。

きっと二人とも一晩中、心配で見守っていてくれたんだな。

ほんとうに優しい子達だ。 二人の頭をそっと撫でていると、目から涙が溢れて流れ落ちた。


あれっ、良かった気が付いたのね。

声の方に視線を向けると、エイミーがタオルを持って立っていた。


ごめんね。 心配かけちゃって。

あーー うん。  それがね・・あたしとリアムは、セレネがこんなことになってるって事、ぜんぜん知らなかったんだ。

この子達が、宿の人達とセレネを此処に運んで来るまで、まったく気が付かなかったの。


そうか・・ あたし、みんなに何も言わずに出て行ったから・・・

みんなを起こしたら悪いかなって思ったのが、いけなかったのね。 かえって心配や迷惑をかけちゃって、ほんとにごめん。


えーー 別にあたしに謝らなくてもいいよー。

でもさ。 この子達は、大活躍だったんでしょ。


うん。  いつもあたしが大変な時に助けてくれるの。 昨日は、あたしを助けるために自分たちが危険なのも構わずに・・

うっ、 う  う゛ーーー

そこまで言うと涙腺が崩壊してしまって喋れなくなった。


あーー ハイハイ。  もう少しの間寝てて。  あとでお粥とか持ってきてあげるからね。

それと昨日来てた服・・・制服っていうの?  乾かしておいたけど、まだ少し湿っぽいかな。


あ、ありがとう。  ぐしっ  えぐっ   あたしは、こっちに来てからほんとうに泣き虫になった。


セレネ・・?

エイミーと話していたので、シルフが目を覚ましてしまった。


セレネ、起きた もうなんともない?

シルフはまだ眠そうなのに、嫁のように心配してくる。


メイアもガバッと起き上がり、あたしに速攻で抱き着いて来た。


メイア、ずるい! あたしも。  シルフも焼きもちを焼いて、すぐに飛びついてくる。


二人とも、昨日は本当にありがとう・・・ 心配ばかりかけて、ごめんね。


じゃあ、またあとでね。

エイミーがあたし達三人で、エグ エグ 泣いているのを見ながら部屋から出て行った。



・・・


あの日のことを猛烈に反省すればするほど、あたしは落ち込んだ。

どうして嵐の中、出かけてしまったのだろうか・・・

ほんとうにバカだ!

自分は死んでも自業自得だけど、シルフやメイアや仲間達がもし怪我でもしたらそれこそ取り返しがつかない。


このループが3日ほど続き、体重も3キロ減った。  あと少し落ち込んでいたら、ダイエット目標達成だった。

でも、あたしは、3日坊主のO型だった。  


以前、ネットで「3日坊主 O型」で検索したことを思い出した。

結果は、「あるあるO型、日記、ジム通い、ダイエット、ジョギングなんでも3日坊主」と表示された。

当たっていたので、なんか苦笑いした。


そして4日目の朝、すっかり立ち直ったあたしは、ご飯を5杯おかわりした。

体重計には怖くて乗らなかったけどね。

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