第20話 ◆エリージャ伯爵
◆エリージャ伯爵
あたしは、今日から伯爵様のお世話係になった。 伯爵様は、見た目はすごくカッコいい。 深いブルーの瞳、金色の髪、スラット長い足。
最初、伯爵様と聞いた時は、白髪のお爺さんだと思ったのだけど、なんと噂では二十歳らしい。
それで奥様が二人いる。
初仕事は10時にお茶を淹れることになったので、サステマさんからいろいろレクチャを受ける。
曜日と時間によって淹れるお茶の種類が違っていて、間違えると機嫌が悪くなるそうだ。
あたしは、神経質なタイプは苦手だ。 怒られないように、曜日別、時間別の一覧表を作ってチェックすることにした。
こちらの世界では、1週間は12日ある。 1日はあたしの腕時計とのずれをみた限りでは約14時間だ。
スマホの充電ができたら、アプリが使えて簡単に管理できるけど、こちらの世界はあたしが居た世界からいろいろな面で100年近く遅れている。
でもスマホやPCは、なければないで問題はない。 それより生きているって実感がやばいくらいする。
今日の10時は、海を渡った南の国で採れた茶葉で、オレンジに似た香りがするお茶をお出しする。
お茶を淹れる温度も決まっているのだが、かと言って温度計があるわけでもなく、いったん湯を沸騰させてから何分後というようにタイミングで淹れているそうだ。
いわゆる先人の知恵っていうやつ?
伯爵様のところに持っていく時間も考慮して、2分後にポットとカップをワゴンに乗せて運んでいく。
ドアを2度ノックし、何も返事がなければ部屋の中に入っても良いそうだ。 返事がないので、ドアを開け部屋の中に入る。
お茶をお持ちいたしました。 少し声が小さかった・・・
ワゴンの上に置かれたカップにポットからお茶を注ぐ。 テーブルの上にティーカップを置くときに手が震えてカチャカチャと音が鳴った。
あれ? あたし結構緊張してたのか。 特に伯爵様を意識していたわけでもないのに、それだけで汗が出てくる。
伯爵様にお辞儀をして、早々にワゴンを押して部屋を出ようとした時、待ちなさいと呼び止められた。
ワゴンに手をかけたまま、ゆっくり伯爵様の方に体の向きを変える。
ひっ!
向きを変えたあたしの目の前に、伯爵様の顔があったので、思わず小さな声が出てしまった。
近い、近い、近い・・・
君は、アイデンが奴隷市場で見つけた娘だったね?
はい、そうです。
なかなかの美人だ。
・・・・
一緒にお茶を飲んでいかないかね。
あ、ありがとうございます。 せっかくなのですが、次の仕事がありますので、これで失礼いたします。
それでは、3時の時に。 そういわれたのだが、答えずに出てきてしまった。
戻ったら、サステマさんにどうすれば良いか相談してみよう。
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