魔力認証

「てか、右下にある、融資ってのは…融資を受けた金額が表示されるのか?」


ふと目に入った融資の文字に、キョウヤはミナミに尋ねる


「そうだよ、返金していくと、そこの金額も減っていくからね~」

「なんか、一目で見て分かるって良いね」

「けどよ、それって、他人にもすぐ見える…って事だよな…」


そう、普通にカードの裏面に全て表記されているのだ

もし万が一落としでもしたら、情報漏洩もいいところである

まぁ、落とす方も落とす方ではあるが…


「大丈夫だよ!カードの裏面左下に黒い点があるでしょ?」

「あ…うん、黒いちっこい丸があるね」


ミナミの言う通り、カードの裏面左下…融資の反対側には

黒い小さい丸があった

ただ、コレが何なのか、ユウキとキョウヤの二人には皆目見当がつかない


「それに、指で触れてみて?」

「?…う、うん…」


どうなるのかが分からないまま、触れるように促され

ユウキはどうなるのか…とドキドキしながら

黒い丸に触れる


「っ…これは…」


触れた瞬間、出てきたのはステータス画面などでお馴染みの

半透明の板状のものだった

そこには「この魔力を認証登録しますか?」と表記されており

おの文字の下には「はい」「いいえ」という選択肢がある


「それで『はい』を選択したら

ユウキちゃんの魔力以外の人が触っている時は金額とか表示されないんだ」

「あぁ…魔力って人によって違うんだったね…」


いつぞやの、万全なセキュリテイだった本を思い出す


「へぇ…それをしておいたら、本人以外が中を見る事が出来なくなるんだな」


そう言って、キョウヤもカードを取り出して

ユウキと同じように魔力認証をする


(指紋認証みたいだな…)


見る事の出来る指紋と違い

見えない魔力では、偽造が出来ないだろうから

指紋よりも、より高いセキュリティに思える


(ま、向こうでは魔力なんて無いからな…)


根本的に、向こうでは実用出来ない事が少し残念だが…

無いのだから、仕方ないし、そもそもココにいる誰もそこには戻れないのだから

どうしようも無いのだが…


「私も、魔力認証出来た!

さて、次はどーする?」


ミナミの問いかけに2人は「う~ん」と考える

予定していた、ギルド登録も終わったし

仕入れ先の確認もした

そして換金所で口座も作った

思いつく限り、必要な事は終わったのだ


(あ…野菜と果物見てくるの忘れた…)


肉の値段や量の確認ばかりになり

他に野菜や果物などを見ていないのだ

まぁ、種類は豊富にあったから

無いという事は無いだろうが

この世界にどんな物があるのかを知っておきたかったユウキからすると

大仕事を一つ忘れた…という感覚だった

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