やっぱり絡まれる

「うわぁ…あんだけ光るとかスゲーな」

「ホントにな…何のジョブに就いてるんだろうな」

「あの格好じゃ分かりにくいな…」

「あんだけ光ってんだから、戦闘職だろ」

「純度が高いから、魔法使いかな」

(…いや、ミナミは生産職希望だよ…)


あの光でも、ココにいる人達からは、凄いレベルらしく

ざわざわと皆噂をしていた


(…これ、マジで、僕とキョウヤ人の多い時にやってたら

かなり目立っただろうな…)

「あれくらいで…ぐはっ…」

「余計な事言うなよな…その一言で、滅茶苦茶注目集まる事になるんだぞ」


余計な一言を言おうとしていたキョウヤの鳩尾にユウキが一発入れる

その後に続くはずだった言葉は、当然出てくる事は無く

鳩尾を押さえて、痛みをこらえるしかないキョウヤだった


(何のために顔出さなかったと思ってるんだよ…)


危うくキョウヤの一言で、色々と台無しになる所だったため

ユウキは「ふぅ」とため息をついた


「ギルドに登録出来たよ!」


嬉しそうにミナミが、2人の待っている所に駆けてきた

ミナミが注目を集めているから、当然2人にも注目が集まる…


「(あ…結局注目集まるじゃん…ま、僕が情報誌の人…と分かるよりはマシだよね)

良かったね、んじゃ、さっさと素材買って帰るか」


特に、ユウキの意見に異論はなく

3人はギルドの出口に向かう


「おい、姉ちゃん新人だろ~」

((…メンドクサイのに捕まった予感…))


ユウキは直感的にそう感じるが

まぁ、名前を呼ばれたわけでは無いので、無視を決め込む事に…

実際、ミナミは自分の事を呼ばれたとはまるで思っておらず

ご機嫌で、ギルドカードを眺めている

キョウヤは気付いているが、ユウキ同様無視を決め込むつもりのようだ


「ねぇねぇ、ユウキちゃん、素材店で買う食材何が良いかな?」

「ん~…とりあえず、野菜系はそれなりにあるからなぁ~

何か、果物的な物があれば買いたいかな」

「そういや、ココで果物っぽい物、まだ見てねぇよな…」

「おい!」

「果物っぽい物もあるよ!早く見に行こう♪」

「おい、姉ちゃん無視は良くねぇだろ」


声をかけてきていた男がミナミに触れようとした瞬間


「お前な、女の人に気安く触るなよ」


バッとミナミと男の間に入ったのは、キョウヤ


(おぉ…珍しくキョウヤがかっこ良く見えるぞ)


一度もカッコイイ見せ場が無かったキョウヤ

そのキョウヤが、今一番活躍している


「お前みたいなガキに用はねぇんだよ!

見た所お前も新人じゃねぇか

はっ…お前みたいなガキはさっさと雑用やりに行けよ

そこの姉ちゃんは、俺様が手取り足取り教えてやるからよ」

「うわぁ…下心丸出しとか、下品にも程があるんじゃねぇの?」

(…な~んだろ?どっかで聞いた事があるようなないような…)

「うわ、お前、新人のくせに、兄貴にたてつくとか馬鹿じゃねぇの?

俺達兄弟の事知らねぇのかぁ~?

さっさと、どっか行けよ、お前なんかお呼びじゃねぇんだよ」

(どーこだっけなぁ~…)


声をかけてきた本人も見ずに声だけを頼りに考える

考えているユウキに、相手の顔を見る…という選択肢は出てこなかった


「私、2人と約束してるので、お断りします」

「んなガキ相手にしても、良い事ねぇ~って

俺様達なら、強いしベテランだから頼りになるぜ」

「ほらほら、いこーぜ」

「だから、勝手に触ろうとするんじゃねぇよ!」


一触即発のムードに周りにいた人達は、少しずつ離れていく

何とか助けようとする人もいたが、やはり相手が悪いのか

あと一歩が踏み出せずにいる

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