勘違いは飛躍した

~数十分後~


「んぅ…あぁ~…朝か…」


キョウヤはパチリと目を開けた

先程とは違い、目覚めバッチリである


「あれ?抱き枕なんて出した覚えは…うわぁぁ!!?」


何かを抱きしめている感覚に、それを確認したキョウヤは驚きの声をあげる


(なっ…なっ…何でコイツが!!?)

「うぅ…んだよ…大きな声出して…」


大きな声で起きたらしいユウキは目を擦る


「何だよじゃねぇよ!何で俺のベッドにいるんだよ!?

 お前、そっち系の趣味があるのか!!?」

「…はぁ?キョウヤを起こしに来たら、お前が寝ぼけて引きずり込んだんだろ…

 んで、僕の…」

「わぁぁぁぁ!!!!(お前の…お前の何を奪ったんだ俺は!!!?)」

「ッ!?な、何だよ大声だして…」


キョウヤの大声に、ユウキは思わず耳を手でふさぐ


「俺はそっちの趣味はねぇ!!

(確かにコイツは可愛いと言えば可愛いかもしれないが…いや、男だからな!!!)」

「…いや、意味分からん…(というか、僕の性別上、そうはならないけどな…)」

「俺は男に興味はねぇ!!!(そうだ、俺は女にしか興味はない!!)」

「だろうな…てか、何でそっちに話がいってんだ?」


まだ説明も途中なのに、話しは完全にそっち系に行っている

まぁ、間違った事があったとしても、そっちには進まないのだが

それをキョウヤが知るのはいつになる事やら


「引きずり込んだ後、俺が…お前の何かを奪ったんだろ!!?」

「…??」


ユウキは首を傾げる

何かを奪われた記憶は無い

そして、何でそんな話に話しが飛躍しているかが理解出来ない


「何も奪われてねぇと思うけど?」

「でも、お前『僕の…』って続けてたじゃねぇか!」

「あぁ…違う違う

 んで、僕の特技である『おやすみ3秒』が発動して寝たんだ

 って、続くんだぞ」

「ぇ?」


ユウキの話を聞いてキョウヤはキョトンとする


「そ、それだけ?(間違った事は起きてねぇんだな?)」

「それだけ…それ以上に何を期待してんの?」

「はぁ!!?期待なんかするわけねぇだろ!!!

 (可愛い女の子ならまだしも…可愛くも見える男の子…に何を期待するんだ!!?)」

「んじゃ、問題ねぇだろ(うん、僕の男っぷりは完璧だね♪)」


ユウキは、ベッドから抜け出すと、さっさと部屋を出て行った


「はぁ…焦った…

 って、何に焦ったんだ俺は…?

 いや、間違いが起こったかもしれないって焦ったんだが…

 でも…前の俺なら、男が横にいたからって、そんな発想にならなかったのにな…

 やっぱ、ココに来てからオカシクなってるなぁ…」


キョウヤは、ブツブツ独り言を言いながら着替えて、キッチンに向かう


「ふぁ~…二度寝は最高だねぇ~…

 時間は予定より過ぎたけど…まぁ、許容範囲でしょ

 (さっきみたいな場面では、普通ドキドキするもんだよな…

 でも僕にはそれが無い…何か、色々欠落してるんかねぇ~…まいっか)」


ユウキは冷めた肉をもう一度加熱する

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