初めてのメイキング(キョウヤside)

「あ…そっか…飯に関して、お前に文句言っても仕方ねぇか…」


この世界の食事情について、コイツに文句を言っても意味など無い

コイツがこの世界の食事情を作っているわけではないのだから…


「そうそう、文句ならカミサマとやらに言ってくんない?

 まぁでも、キミが期待するように仕向けたのは僕だからね

 お詫びに、美味しい夕飯を作ってあげるよ」

「やっぱ、仕向けてたのか!!?」


仕組まれてはいたらしい!!


「まぁな~

 でも、ココの状況を知って欲しかったんだよね

 初めからマズイって言ったら、ぜーーったい食わないだろ?」

「当たり前だろー」


誰が進んでマズイ物を食べるって言うんだ…


「僕は、ちゃんと現状把握をして欲しかったからね

 だから、一度キミにちゃんと見て触れて感じて欲しかったんだよ」

「あんなマズイ物に触れるのは、もうゴメンだけどな」

「ハハハ…」


アイツは苦笑いをすると、インベントリからボアの肉を2つとキノコを4つ取り出した

今から調理に取り掛かるようだ


「あ、まな板と包丁が無いんだった」

「うわっ…何で何も無い所から、まな板と包丁が!?」

「これはメイキングだよ…キミも持ってるけど?」

「え?」

「あ、そうだ思い出した!

 キョウヤはこの奥にある部屋使って良いからさ

 ベッドとかの家具を自分で作っておきなよ」

「は!?」


何で俺が作らなきゃいけないんだ!?

そんな物買えばいいじゃねぇか…

いや、服があのセンスだ…家具のセンスも微妙かもしれない…


「じゃなきゃ、寝るところないよ?」

「ど、どうやって作るんだよ!!?」

「『メイキング』の説明見たら分かるよ

 照明の光の魔石は作ってあげるから

 それ以外、出来る所は自分で準備してこいよ」


アイツは奥の扉を開き、照明を作り光の魔石と思われる石をセットした


「明るくて作業しやすいだろ?

 んじゃ、僕はご飯の準備しとくから、頑張れ~」


アイツはそう言い残して、部屋から出ていった

さて、メイキングの説明でも見てみる事にしよう…

朝一度見たが、ほとんど記憶に残ってない…

断じて、俺の記憶力が悪いわけじゃない!

今日は、色々な事が一度に起きたからだ!

とりあえず、メイキング


◇メイキング◇

様々な物を作る事が出来る

使う主の魔力を消費し、主のイメージを元に作り上げる

使用時には「メイキング」と言うか、心の中で唱える


なるほど…この薄い半透明な板に手を置いて

魔力を込めてイメージすればいいんだな

よし…黒のベッド…他には…


「棚、もう一つ作っておくか…」


室内は俺好みになった

9個の家具が配置されている

壁収納もつけて、完璧だ

もう一つ、壁にかける棚をイメージして、出した

その途端、俺の目の前は真っ暗になった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る