影々

最初は影が2つあった。

笑いあって楽しかった思い出に浸って重なった。


いつからか影は1つになった。

夕焼けに照らされて見えたアスファルト上の僕たちは夕闇に呑まれながらもひとつの影に身を委ねていた。


最後には影が独つになった。

僕は影を落とした。


夜空には星が煌めいていた。

僕の夜空は星が消えていた。


花が散った。

虹の橋がかかった。

ピリオドを打った。

旅に出た。

川を渡った。


宵闇に影が飲まれた。

夜だけは安心した。


色の消えた世界に、彼女の前に。

影はふたつといらなかったから。

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