時、時雨
時間は人を殺す
考えなくても分かることで、時が経てば人は死ぬのだ。これを私は時間は人を殺すと表現した。
次は8時32分の電車。通勤通学ラッシュの時間。
一人の女が挙動不審な佇まいをしていた。
31分、長針が動いた。
女は線路へ飛び込んだ。
私の時は止まったようだった。
女は止まらなかった。
時間は人を殺した。
またある時、親が余命を宣告された。
元々病弱であった母は持って数日と言われた。
私の絶望と言うよりかは母の希望を優先した。
食べたいものを聞いたり楽しい話をしたり、色々な話をした。
結局母は1ヶ月持った。
医師は頑張ってくれました、と声をかけてくれた。
私はこの1ヶ月母の声を聞くことは1度もなかった。
私の中で母は死んでいた。
時間は悔しいほど現実的に人を殺すようだった。
私は天命を全うしたい。
願わくば時間に囚われない死に方をして欲しいと切に願った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます