時、時雨

時間は人を殺す


考えなくても分かることで、時が経てば人は死ぬのだ。これを私は時間は人を殺すと表現した。


次は8時32分の電車。通勤通学ラッシュの時間。

一人の女が挙動不審な佇まいをしていた。


31分、長針が動いた。

女は線路へ飛び込んだ。

私の時は止まったようだった。

女は止まらなかった。


時間は人を殺した。


またある時、親が余命を宣告された。

元々病弱であった母は持って数日と言われた。

私の絶望と言うよりかは母の希望を優先した。


食べたいものを聞いたり楽しい話をしたり、色々な話をした。

結局母は1ヶ月持った。

医師は頑張ってくれました、と声をかけてくれた。

私はこの1ヶ月母の声を聞くことは1度もなかった。

私の中で母は死んでいた。

時間は悔しいほど現実的に人を殺すようだった。


私は天命を全うしたい。

願わくば時間に囚われない死に方をして欲しいと切に願った。

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