魔人の願い事

「お前の願い事を三つ叶えてやろう、できれば最後の願いで俺を自由にしてくれ」

 汚い部屋で一人きり、みすぼらしい汚れたぶかぶかの服を着た少女に魔人は言った。

「パパにお金をあげてください、しばらくは殴られなくなると思うので」

 顔に青い痣のある少女が言うので魔人は少女の父親の財布に札束を入れた。

「次はママの体重を軽くしてください。ご飯を私にも与えてくれると思うので」

 痩せ衰えて自分を支える力もない少女が言うので、魔人は母親の体重を減らした。

「最後は魔人さんを自由にします」

「ダメだ」魔人は待っていたはずの答えに首を振った。「君のために願いは使うんだ」

「いいえ、あなたを自由に」優しい少女は言った。

 魔人は自由となった。その足で魔人は少女の両親の元に行き、パチンコ台に並んでいたので二人とも後ろから殴って殺した。

 魔人は泣きながら初めて願った。

 少女が自分の願いを持ちますように。

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