「どうして地球で盗みなんかしたんだ？」

　宇宙警察の取り調べ室で、『落としの虎』と呼ばれる刑事が言った。

　地球の物を盗むのは銀河系連邦法で禁じられているのだ。

「私たちのα星では彼らが銅と呼ぶ物質が不足しているのです。地球では豊富に銅があるので気づかれないと思ってやりました」

「だからってなあ」刑事はため息をついた。

「α星で開発された『必要とされていない物を判断する装置』で地球では誰も注目していない銅をこっそりもらったつもりだったのですが……」

「地球でも宇宙人の仕業とはバレていないから、今度からは気をつけろよ」

「はい、ところで私たちが盗んだ銅は一体なんだったのでしょう？　必要とされていないと思ったのですが、こんなにすぐにバレるなんて」

「宇宙警察でもよくわからんが、地球のやつらはこう呼んでいた」

　刑事は思い出すように言った。

「コウチョウの銅像」

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