意外な転職!?インタビュー!/暗い部屋
五十貝ボタン
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このページでは、まったく違う業界に飛び込み、前職の経験を活かして最前線で輝いている転職者を紹介しています。
今回は、以外な前歴からカウンセラーに転職したKさんにインタビューします!
――こんにちは。
K こんにちは。
――すごく体を鍛えてらっしゃるんですね!
K そうですね、よく言われます(笑)。前職では重い物を持ち上げたり、ずっと同じ体勢でいることもあったので、自然と体が鍛えられました。
――Kさんのお仕事のスタイルは、かなり独特だそうですね?
K どうなんでしょう(笑)。あまり、ほかのカウンセラーがどういうスタイルで仕事をしているのかわからないんですが、私の場合は、やっぱりほとんどの悩みの原因は人間関係である、と考えているんですね。
――人間関係ですか。
K はい。その問題を、顧客と一緒に解決することが私のミッションだと思っています。
――かなりプライベートな部分にも踏み込む必要がありますよね。
K そうですね。だから顧客の信用を勝ち取り、顧客の笑顔を第一に考えるのが絶対の条件です。
――前職の経験をどのように活かしているのですか?
K 一般的には、『人間はそう簡単に変われない』と言われています。ただ、私は前職で何人もの人を相手にしてきましたから、どうすれば気持ちを違う方向に向けられるかってことをたくさん考えて来たんですよね。
――だから、人間関係のトラブルも解決できるというわけですか。
K そういってしまうとちょっと大袈裟ですけど(笑)。解決するのはあくまで顧客で、私はそのお手伝いをさせていただいている、と考えています。
――よければ、具体的な成果を聞かせてください。
K そうですね。最近は、あるご夫婦からの相談を受けました。息子さんにちょっと問題があって……
俺がここに閉じ込められてから、どれぐらい経っただろう。たぶん、三日は過ぎている。
ここは狭く、暗く、臭い。俺の体は椅子に縛り付けられて、身動きできない。
何時間かに一度(だと思う。この部屋には時計がない)、大きな男がやってくる。そいつは麻袋のようなもので顔を隠していて、ほとんどしゃべらない。
そいつは定期的に俺の体に点滴を打つ。もうずっと、口から何かを食べていない。胃には何も入っていないのに、死ぬことはできない。
点滴が切れると、洗面器を出してきて、俺の座っている椅子の一部を外して……ああ、くそっ。なぜこの部屋が臭いのか、説明したくない。
俺は裸で、首輪のようなものをつけられている。こいつが最悪だ。俺の頭の位置が低くなると、電撃を流す仕組みになっている。眠くなるたびにそいつに起こされる。1分にも満たない時間、意識が薄まって、ごくごく薄いまどろみの直後に電撃。そんなことを何度も何度も繰り返している。起きているはずなのに、夢の中にいるかのように頭がぼおっとしている。
なぜこんなことをされなきゃならない?
就職に失敗してからバイトもろくにせず、親の金で生きてきた。でも、人付き合いは人並みにあるのが救いだ。
その日も友達と飲みに出て、終電直前で駅から家に帰る途中だった。
突然誰かが俺の体をひっつかみ、車の中に連れ込まれた。
抵抗しようとしたけど、顔に布袋のようなものを被せられ、両手足を掴まれていた。男が何人もいるようだった。袋の上から何発も頭を殴られ、気づけばこの部屋にいたのだ。
くそっ、混乱してうまく思い出せない。
泣きたくなるが、涙が出るほど強い悲しみが湧き上がってこない。泣くのにも体力が必要だなんて、知りたくなかった。
その時、薄っぺらい扉が開いて、また男が入ってきた。男は麻袋の中から俺にこう聞いた。
「生まれてきたことを感謝しているか?」
こんな目に遭うくらいなら、生まれてこなければよかった。俺はぼんやりしながら、首を振った。たぶん、振ったと思う。自分の体がどういう状態だか、あまりよくわからない。
そうしたら、男は何かを運んできた。丈夫そうな金属製の台と、金属バットだ。
そして、次はこう聞いた。
「四本ある手と足の中で、一番要らないのはどれだ?」
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