第28話 五日目の朝
次の日。まだ辺りは薄暗い。
寝間着姿のまま、ヤヨイは部屋の外に出た。右隣のドアを叩かず、
「おはよう」
『おはよう。すぐいく』
すぐに通話が終わり、部屋からカケルが出てきた。
「いつも、この時間?」
「うん」
「次からは大丈夫。多分」
柔軟体操をしながら二人は話す。すぐ南側にある広場に出た。カケルも寝間着姿。
「運動用の服が、あったほうがいい?」
「これから暑くなるから、薄手の服がいいかも」
ヤヨイとカケルは、筋肉トレーニングをしながら雑談していた。
辺りが明るくなってきた。
じょじょに鮮やかになる、広場の緑色。
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
ヤヨイとカケルが、この場にいない師匠にお礼を言った。
「部屋に来て。ご飯作る」
さらりと告げる、すこし背の低い少女。ロングヘアをなびかせる。
「勉強になります!」
短髪の少年は勉強熱心だ。
ヤヨイの部屋に入り、朝食作り
食事のあとで、ヤヨイの部屋から出たカケル。
料理は、まだまだ練習が必要。
玄関まで見送りに出たヤヨイは、スズネとタクミに会う。
「あらあら」
「いつの間に、そんな関係に」
二人は言葉少なに言った。
「実は、料理が苦手で、教えてもらってるんだよ」
それだけ伝えて、カケルが自分の部屋に入っていく。
「まだまだじゃな」
ヤヨイは、師匠の真似をしていた。
「まだ成長の余地を残しているなんて、恐ろしいわね」
「全くだぜ」
底知れぬ可能性に震える二人。広場へ向かい、模擬戦を始めた。
普段着に着替えたヤヨイとカケル。
それぞれ、自室で洗濯していた。
といっても、機械に放り込んで乾燥まで待つというものである。
二人は機械を放置した。すぐに部屋から出て、模擬戦が行われている広場へ向かった。
白い壁の建物をあとにする。
「また頼むぜ、カケル」
「分かった」
スズネとの戦いが終わったタクミが言い、了承される。
広がる円形のドーム。
二人が精神体に分離する。
淡く光る棒と剣がぶつかり合う、模擬戦が行われた。
「次は私よ」
「よろしく」
タクミが敗れたあとでスズネが模擬戦を申し込み、戦いが始まる。
ヤヨイは、じっと見つめていた。
「今度はヤヨイ、頼む」
「うん」
スズネが敗れたあと、タクミはヤヨイとの模擬戦を望んだ。
「伸ばすなよ、刃」
「カケルにも言われた」
長身の少年が放った言葉に答えて、ヤヨイは笑った。
「駄目だ。
「嫌よ」
敗れたタクミの言葉を拒否したスズネと、ヤヨイの模擬戦が始まる。
カケルは、その様子を見ながら微笑んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます