第34話 脱力の方法 1

 実はピアノを弾くのが苦手な理由の一つに脱力が出来てないということがあります。


 練習をする時には、スラスラと気持ち良く弾ける時と駄目な時があります。この差が何かわかりません。


 人前に出て演奏すると大抵、身体に力が入りいつも通りに指の位置がいかずミスを連発する、あるいは腕が浮いたようになり指の感覚がいつもと違い集中出来なくなるのです。


 たまに上手くいくもののまぐれ当たりみたいな感じです。

 ピアノの鍵盤が、思うように操れないし、ピアノの鍵盤は、私を拒絶しているみたいな感覚になります。


 このことを先生に相談すると、私の弾き方では表見には身体に力が入っていることは、わからないとのことでした。

 

  脱力が出来ていないという悩みは、30年弱続いており、結構深刻なものです。


 そんな時、最近知り合ったR先生から耳寄りな話を聞きました。

 フランスに留学した経験のある先生に習った友人から聞いたという親指脱力法っていうのがあって、親指ばかり力が抜けるまで打鍵し続けるというのです。


 それは、試す価値がありそうだと思いました。

 早速に親指の力を抜いて弾いてみました。


 親指の力を抜いて弾くなんて難しそうだと思っていたのですが、ブラームスを弾く時になんと、すぐに出来てしまい、腕の内側から肩まで力がスッと抜けました。


 まぁ、フランスに留学して何年もかけて習得する脱力法が思い付きでやってできるはずはないので、もしかしたら勘違いかもしれません。


 それでも親指の力を抜くと肩まで力が抜けるのは、ラッキーです。

 ああ、良かったと思い、モーツァルトも試すと大変弾き易くなって指が良く動くのですよ。


 必要な力は残していないとピアノが弾けませんから、無駄に入っている力を親指から抜く感じです。


 結果的に腕から肩まで脱力するので、日頃使っている筋肉を使わないからか身体がムズムズとする感じで、少し不快です。


 でも、これは面白いと早速に先生にブラームスを聴いていただくことにしました。


                   続く

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