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「…まあ精霊に頼る状況になるなんて稀な事だろうし」



…せいぜい自分と同じ強さの奴と連戦する時ぐらいじゃねぇかな?



今のあいつらの強さが円卓の騎士レベルっぽいから……うん。



円卓の騎士と連戦する事なんてかなりの悪事を働かない限りありえねぇわ。



ユニオン以外の国を二つ三つ乗っ取って、他の国を無理やり従わせ、ユニオンに喧嘩売るぐらいはしないと。



…連戦だとそこまでしないといけないが、円卓の騎士と戦うぐらいなら…



国を二つ三つ乗っ取るぐらいでは出来るかも。



…つーても同レベルが一人しか居ないなら精霊を頼るまでもないと思うが。



「…ココにいたのは……あの方々が…!?」



俺が変な事を考えてると美女が少し考えて驚いたように呟く。



…へぇ、リザリー達と一応面識があるんだ…



ってかココに居たって知ってたって事はさっきも来たのか?



「…とりあえず、なんでそのお嬢さんを連れて来たの?俺に紹介してくれた系?」


「…ここまで女に囲まれているのにまだ女を欲しがるなんて…ホント筋金入りね」



美女が来た理由について尋ね、適当な冗談を言うと…



タイミング悪くリザリーが戻って来てて呆れたようにため息混じりに呟かれた。



「お、戻って来たんだ」


「バッグを取りに来たのよ」



あんた達が戻って来てるとは思わなかったから念のためにね…でも無駄足だったわ。と、俺の質問答えるや否や部屋から出て行く。



…ええー…バッグを取らないんならもはや俺に文句を言うためだけに戻って来た感じじゃん。



「…お前を招待してくれた方に向かってその言い草は流石だな…やはりそうでなくては」


「へぇ、そこのお嬢さんが俺を…?…ああ、なるほど…誰か思い出したわ」



元上司の呆れたようなため息混じりの言葉にそこにいるお嬢さんの事を思い出し、驚きのあまり声を上げそうになったがなんとか我慢してクールに振る舞う。



そういや、なんかこの前護衛だかなんかだかでどっか一緒に行ったな。



「思い出しました?」


「ああ、うん…忘れてごめん…って言っても幼少の頃ってお嬢様だけじゃん」



あの頃は俺の年齢二桁言ってたし…とお嬢様の問いに適当に謝りながら返す。



「昔のようにティアって呼んで下さらない?」


「…俺がこの歳になってのその呼び方は慣れてないから勘弁して」


「…分かりました、では慣れたらそう呼んで下さい」



お嬢様の言葉に拒否するように言うも妥協はしたが呼び方は譲れないらしい。



「あー、まあ…このお茶会に招待してくれてありがとう、とお礼は言っとく…呼び名は変えないが」


「…どう致しまして…まさか私も来てくれるとは思わなかったので、参加してくれて感謝します」



俺が話題を変えるように釘を刺してお礼を言ったら、お嬢様は何か言いたそうな顔をしてお礼を返し頭を軽く下げる。



「…そのお礼と言ってはなんだけど…ココで会えたのも丁度良いからプレゼントをあげよう…剣」



俺はポーチから小箱を取り出してお嬢様にあげようとした剣を取り出そうとするも、他の関係のない剣も出て来てしまった。



「!?ど、どこからそんな量の剣が…!?」


「…ほい、コレ…最近なにかと物騒らしいじゃん?だから護身用としてやるよ」



驚くお嬢様をシカトして目当ての剣以外を小箱に戻し、残った剣を差し出してプレゼントの理由を言う。



…なんか最近このお嬢様が刺客だかテロリストだか変な輩だかに狙われてるらしいね。



噂で聞いたからどこまで本当の事か分からないけど…



まあこのお嬢様が鼻につくとか邪魔だと思う奴らは一定数いるだろうからな。



護衛がいるとは言え、いざという時は自分で戦わなければならないだろうし…



いくら剣術の鍛錬をしてるっつーても、その時にお嬢様より強い奴と戦う事になったら…

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