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「…ホントに?」


「あ、ああ!本当だ!この状況で嘘は吐かない!」


「…俺、人の嘘を見抜ける才能があるから…嘘を吐くたびに腕か脚を斬る」


「…っ!?」



俺の確認の言葉に安堵したように頷くので、牽制や釘を刺すという意味合いでそれっぽい嘘を言うと…



おじいちゃんは恐怖でなのか唾を飲み込んだ。



「別にあんたが死んでも調べる事に困らないし…まあいいや、黒幕ってどんな人?」



式部や式使のお姉さんの予想では裏社会のドンとか言うヤツらしいので、ソレに合わなかったら斬ろう。



「い、色んな方面に太いパイプを持っている!政治、経済、芸能、マスコミ、スポーツ、警察にマフィアにヤクザ…あらゆる人脈を持っている!」


「…さしずめ裏社会のドンってやつか」



うむ、嘘は吐いてないみたいだな…



それにしても、式部や式使のお姉さんの予想が当たったか…こりゃ半妖とかいうのも本当にいるかもね。



「そうだ!遠間藍架はその友人を怒らせた!敵に回したんだ!」


「はっ、裏社会ごときで調子に乗りやがって…そんなんだから闇の住人を敵に回すんだよ」



調べれば出てくるような『裏』と誰にも知られない『闇』…



敵に回したらどっちが厄介かなんて一目瞭然だろうに。



「…闇の住人…?」


「なんでもない、で?俺はあんたとそいつ…どっちを殺れば良いワケ?名前と住所を教えてくれたら興味が失せるから見逃す、そうじゃないなら…」


「ま、待て!織田だ!」



俺がまた鼻で笑って要らん事を言うとおじいちゃんに怪訝そうに聞かれたので、ごまかして剣を向けながら脅すとアッサリ吐いた。



「…織田?」


「本名は織田吉成、千代田区霞が関に本拠を構えている!」



…千代田区の霞が関か…意外と、ってか普通に都心に住んでるんだな。



こういういかにもなのは中心地か郊外、町外れのいずれかに住んでるから…割合的にどこが一番多いんだろ…



「そうか…霞ヶ関のどこだ?」



殺す気がない…と思わせるために一旦剣を鞘に納めるポーズを取り詳細を尋ねる。



「霞ヶ関の…」



ここから先はプライバシーの問題がごにょごにょでカット。



流石に何丁目何番地とかいう詳しい場所まではねぇ?



「…よし、分かった…ありがと」



俺は裏社会のドンとかいう奴の住所を頭に叩き込んでお礼を言い、素早く抜刀しておじいちゃんの首を刎ねた。



…残念だったな、俺の家族に手を出した奴は関係者含めて女子供を除き皆殺しだ。



降りかかる火の粉は火元から…って言うし。



さーて…幹部っぽい奴らは殺した、トップも殺した…もう用は無いし無駄に殺す事も無いから撤退すっかね。



ヤクザの下っ端とエンカウントする前に…と、俺は庭に出るとそのまま壁をジャンプして敷地外へ出る。



…はー、そろそろ昼か…



まあなんとか今日中…愛梨が下校する夕方までには終わらせれそうだな。










…プルルル…プルル…



「んあ?…もしもし?」



霞ヶ関の公園のトイレに影移動して歩いてるとケータイにコールが。



「遠間のお兄さんですかぁ?」



電話に出るとどうやら相手は式使のお姉さんだったらしい。



「…珍しいね…ってか電話番号教えたっけ?」


「ああ、赤のスマホからかけてますぅ」


「なるほど…で、用件は?」



俺が呟きながら疑問を聞くと納得するような答えが返って来たので歩きながら問う。



「…先ほど、愛梨ちゃんを拐ったヤクザの事務所で死体が発見された…との情報が入りましてぇ…」


「ああ、わざわざ報告してくれたんだ…ありがと」



…どうやら意外と早く警察がヤクザの事務所に踏み込んだみたいだな。



にしても耳が早いねぇ…警察内の情報を半日も経たずに手に入れてるとは。



「いえぇ…もしかして、ですけどぉ…遠間のお兄さんの仕業ですかぁ?」


「ご名答、その察しの良さにご褒美をあげよう」


「ご褒美…?」



式使のお姉さんが喉に引っかかった小骨を取るような感じでの疑問に肯定して、情報をあげようとしたら…不思議そうにおうむ返しで聞いてきた。



「その組の上の方の…なんとか組ってのも潰した」


「…なんとかって…『飯塚組』の事ですぅ?」



ふわっとした適当な言い方でも分かったらしく式使のお姉さんは潰した組の名前を挙げる。



「そう!そんな名前」


「…仕事が早いどすなぁ…半日も経たずに二つの組を潰すなんて…」


「そうか?…あ、あとなんとか会とかいう元締めも潰したから」


「なんとか会…?…!ソレって『秋山会』の事じゃあ…!」



式使のお姉さんの感心したような呟きに疑問で返し、思い出した事を告げると驚いたような声が返ってきた。

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