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そのまま押し倒して馬乗りになり、マウントを取ると中指を立てた拳で胸の一点を殴った。



ツボ押し拳裏六式 昏倒急。



「ぐっ…何が…!」


「…寝てな」



最初に吹っ飛ばした奴が頭を押さえながら立ち上がったので素早く近づき、背後から首に腕を回して締めつけながら耳元で囁く。



「かっ…!あっ……!」



男は俺の腕を剥がそうとするも抵抗虚しく落ちる。



…あと三人…だが、とりあえず監視カメラのスイッチを切って…っと。



部屋の中のパソコンのキーボードを弄って俺が来た直近の時間帯の監視カメラの映像を削除し、機能を停止させた。



…ココには監視カメラはねぇけど、念には念を…万が一に備えて、ってな。



監視カメラの縛りが無くなったので俺は早速走って移動し、残りの警備の魔術師三人を出会い頭に殴る蹴る締める等で気絶させる。



…よし、コレで邪魔者は居なくなったな。



この警備してる魔術師さん達には悪いけど、見つかって騒がれると面倒な事態になるから嫌なんだよねぇ。



何の罪も無く真面目に働いている人を気絶させるなんて、流石の俺も心の片隅で良心の呵責が出てくる…が。



お互いに面倒な事態を回避するためのスマートな手段だと思えば多少和らぐ。



…まあ何の罪も無い真面目な人、って言っても邪魔する方が悪いからしゃーない。



邪魔になりそうな虫は事前に排除。



コレ、世間の常識っしょ。



…でもなぁ、監視カメラさえ無ければこんな乱暴な手段を取らずに済んだのに…



うん、全部監視カメラを設置するよう指示した奴のせいだ。



ソイツのせいで警備の魔術師達は本来受けない痛みを受けているんだから。



…っと、さっさと用事を済ませて帰らないと睡眠時間が減っちまう。



「…誰だ?」



牢屋の前に行くと寝てたであろう男が急に起き上がって問う。



「ひひひ、誰だって良いだろう?」


「…不審な奴だ…警備の兵はどうした?」



俺の適当なキャラでの問い返しに男は怪訝な顔で更に質問してきた。



「みぃんな寝てるよ…お前もこれからそうなるのさ」


「…なんだと…?…ぐっ…!」



俺は言うや否やごにょごにょして男の魔力を魔石に吸い取る。



…どうやって人の潜在魔力を吸収するのか、方法は企業秘密って事で。



「死刑囚が死のうが誰も悲しまない…逆に誰かが喜ぶだろうなぁ…ひひひ」


「きさ、ま…!」


「だが安心しな、殺しはしない…せいぜい7日の間昏睡状態に陥るだけだ」


「…ぐっ…!」



男が怒ったかのように俺に近づこうとしたがつまづいて転び、なんとか立とうとするも膝立ちの状態がやっと。



「…さて、次行くか」



限界ギリギリまで魔力を吸い取られ倒れている男を放置し隣の牢へ。



「…うっ…」



寝ている最中にごにょごにょして男の魔力を吸い取るもちょっと呻いた程度で起きる気配はない。



…次に目を覚ますのは大体一週間後ぐらいだろうよ。



せいぜい死なないように気をつけな。



…限界ギリギリまで魔力を吸い取った後にまた隣の牢へと移動。



ソレをこの特殊刑務所にいる死刑囚の全員が昏睡状態になるまで行い…



その作業が終了したところである場所へと影移動した。



そして仮面と黒マントを外して声も戻し、研究所へと戻る。



…そろそろ夜が明けそうな時間だけどまあいいか。



俺はベッドに入り時間を確認してから夢の世界へと旅立った。

































































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