18

「まあ能力はコレだけじゃないんだがな…ブレイド」


「な…!?」



そう続け魔術名を呟くと腕の部分から刃の形をしたモノが出た。



「魔術を固定して刃に留めた状態だ」



…意外と腕の部分に刃があるって使い辛ぇ…



漫画とかだとこんなんで岩とかスパスパ切ってたのに…



一応エルボーするような格好で盛り上がった土を切る。



「…そ、ソレも凄いではあるが…使い辛くないか?」


「使い辛い、フォルムチェンジ…ソード」



エルーが驚きながらも微妙な感じで尋ねて来たので言い切るように答えて魔術名を呟いた。



「…今度のは剣…か?」



金属の小手の手刀の状態から真っ直ぐ伸びて…剣のような形をしたモノを見て聞いてくる。



「そうそう、今は所詮プロトタイプだからな…決まった二通りの形にしか変化させられないんだ」


「…いや、ソレでも魔術の常識を覆すほど凄い事なんだが…」



ブンブン腕を振って盛り上がった土を切り裂きながら答えると、愕然とした様子で呟かれた。



「…ふう…リアクター、オフ」



そろそろ疲れて来たので一息吐いて魔術の発動を止める。



「…なあ、コレはマキナ達に報告して良いのか?」


「別にいいぜ?魔石の魔力はまだ残ってるっぽいし」



エルーの確認の問いかけに俺は金属の小手を外しながら軽い調子で返す。



「…そうか、だがアイツらの事だ…絶対に実用化させようとするぞ?」


「無理無理、俺じゃなきゃ作れねぇよ」



金属製の小手やレガースに魔石を埋め込むってどれだけ難しいと思ってんだ。



ソレに魔術を発動させる術式、発動する魔術の調整とか…普通の奴が作るのは不可能だって。



天才のアイツらでも絶対に無理。



「…ならお前に作らせようとするんじゃないか?」


「少数なら構わねぇよ…ただし、コレを人間に使った場合は俺が責任取ってソイツを殺す」



そしてコレは全て回収し、似たような物を作った…もしくは作ろうとしてる奴らを皆殺しだ…と、その後の事も説明した。































































その後。



エルーの報告を聞いたマキナとリザリーが血相を変えて俺を捕獲。



ショコラを生産大陸から影移動で呼び出すよう命令され…



エルーの時と同じ場所の平原に移動し、同じ事を披露。



…やった事は平原をスイスイ滑走し、地味に飛行…の機動力から始まり…



魔術を技に変えたところまで全く同じ順番で披露する事に。



全く同じ事の繰り返しだから内容はダイジェストで割愛。



何故かエルーも居たので見てたのは全部で4人。



エルーは見るのが二度目なので大して驚いてはなかったが…



女性陣の驚きようは初見のエルーの時と同じで凄まじかったよ。



驚愕しまくり、愕然としまくり。



機動力の時なんてリザリーもショコラも走り始めの時と止まる時に転んでたけども楽しそうだったからね?



…唯一マキナだけが初めてやるにも関わらず驚異的な体幹と超人的バランス感覚で転ばなかった、っていう。



「…またとんでもない物を作ったものね」


「まあまだプロトタイプとしても完成形ではないけどな」



全ての披露が終わってリザリーが呟いたのでそう返す。



「「「「どういうこと(だ)?」」」」


「本当は魔石を埋め込んで、魔力が無い奴でも同じように使えるようにしたかった」



4人同時の疑問のハモリに若干驚きつつもソレも全く表に出さずに答える。



「…魔力が無い奴でも、って…」


「…なに?あんた一人で戦いの歴史でも変える気なの?」


「どう考えても戦争の革命家だよね」


「魔力の無い人を戦力にしようとするなんて程人君らしいと言えばらしいけど…」



驚きが一周したのか4人共呆れたように呟いた。



「いやいや、エルーには言ったが…コレを作ったのは思いつきと好奇心だから実用化させる気は無いぜ?」



…ソレは俺個人の考えだから、最悪調停者の一言で広めざるを得なくなる可能性だって……うん。



コレばっかりは考えてもしょうがないから考えるの止めよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る