30
俺は待ち合わせ場所である城門の前に着いたが辺りに誰も見当たらず…
しょうがないのであっちから来るのを待つ事にした。
…そういやこの前潜入した時はココで衛兵に突っ返されたっけ…
今日は…というか警戒が解かれたからなのか、衛兵だか門兵だか防衛兵だかの姿はねぇな。
「…門の前、ねぇ…」
少し前の出来事を思い出して考えながらも待ち合わせ相手が来ないので門を見上げながらボソッと呟く。
おっと、一応ミュンラに着いて直ぐに髪型や服装…伊達メガネという一般人ぐらいなら欺ける程度の軽い変装をしたよ?
相手が誰か分からんし、用心に越した事はないじゃん?
…にしても、外国の石造りの城ってなんでこうもアンティーク的でファンタジックなんだろ?
日本の城も石造りな点は一緒だけど、アンティーク的とかファンタジックって感じはしないのに…
どちらかと言えば日本のは戦いを連想させて男のロマンをくすぐるような感じがする。
「…あれっ!?もしかして…村さん?」
5分ほど待ってると城の中から涼しげ美人なお姉さんが歩いてくると…俺を見て驚いたと思えば尋ねてきた。
「…ああ、君だったんだ…」
…こいつか!…なるほどね、ミュンラのシェリー・ミラリスってこいつだったのか…
名前聞いたぐらいでは全く思い出せなかったが、一目見たら直ぐに分かったわ。
…実際には一目見て分かるまでに少し時間がかかったけど。
俺は美人なお姉さんの姿を確認してようやく電話の相手を思い出しボソッと呟く。
「…この国に滞在中だったの?」
「ん~…まあそんなところかな?」
待ち合わせ場所に俺が先に居たのが不思議だったのか、そう質問されたので適当に疑問形で返す。
「凄いタイミング…!」
「とりあえず用件は?」
再度驚いたような反応をした美人なお姉さんをスルーするように俺はさっさと本題に入る。
「あ、うん…実は隣国が急に攻めて来て…ソレが一国だけならなんの問題も無かったんだけど…」
「って事は二国同時に?」
「そう…しかも別の国も怪しい動きがあるらしく、流石に私達だけじゃ苦しい戦いになりそうだったから…」
美人なお姉さんの説明に話を進めるように聞くと…
俺の予想より5°ほど斜め上を行く内容だった。
…流石にこの国の戦力で三ヶ国に攻めてこられたらキツいだろうな…
作戦や戦い方次第では勝てるかもしれんが、戦力の消耗や被害は激しいだろうし…
ソレを狙ってまた今の二ヶ国が第二陣で攻めて来られた日には…
…まあどういう考えだったとしても俺に助けというか助太刀を求めたのは適切で賢明な判断だ。
…いや、待てよ?…なんで他の国の同盟国だの友好国だのに支援だの救援を求めねぇの?
「同盟国とかには支援や救援は要請したの?」
「さっきしたけど、到着までに早くても一週間はかかるって…」
疑問をそのまま聞いてみたらまあ予想通りの答えが返ってくる。
…うーむ、俺が隣国に行ってトップを脅して撤退させようにも最前線に通達が行くまでタイムラグが生じるし…
その間に被害が結構なものになりそう。
…今回の件なら上との交渉とか脅迫とかは実働部隊を潰してからがベターか。
ベストは実働部隊が来る前に脅して撤退だけど、もう遅いっぽいし仕方ない。
「攻めて来るのが一国だけなら俺一人でも余裕だけど、ソレが二国三国と増えるとなぁ…」
「…私も一国だけなら、現戦力でも最小限の被害に抑えての撃退も簡単だけど…」
「…ああ、居た居た!」
美人なお姉さんと一緒に考えてると調停の使者であるおっさんが駆け寄ってきた。
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