16
「それじゃ、またね」
「おう」
「これからリザリー達の所に行くのか?」
「あ、ちょい待ち…エルーに渡す物があるんだった…」
デート的なのを終えて研究所へ戻り、ショコラの作ったご飯をご馳走になっていつもの公園に戻ろうとしたらエリアに引き止められる。
「渡す物?」
「…ああ、アレか」
「…コレ、会った時でいいからエルーに渡しておいてくんね?」
ハルトが何かに思い至ったように呟くとエリアが小走りで戻って来て手さげ袋を差し出した。
「なんだコレ?まあいいけど、そうだな…上目遣いで可愛く首を傾げたら持って行ってやるよ」
「なっ…!?」
マキナとかショコラは良くやるが…リザリーとかの美人系がやるのはレアなんだよなー…
「どうする?」
「うぐぐ……こ、こう…か?」
「その顔、いただき」
俺が聞くと悔しそうに唸り照れながらすっげぇツボにハマる感じの表情をしたので、直ぐさま用意していたケータイで写真を撮る。
「ぬあっ!?」
「おお、ケータイで写真なんて久しぶりに撮ったが…良く写ってんなー」
「見せて見せてー…ホントだ!すっごい綺麗で可愛い!」
「うわああ!止めろ!消せ!」
写真をショコラに見せると驚いたように声を上げ、エリアが俺からケータイを奪おうとした。
「…俺にも見せてくれ」
「見なくていい!ってか見るな!!」
「すっごいよ…綺麗なんだけど、可愛いのなんのって…」
必死に俺からケータイを奪おうとするエリアを軽くいなしてるとハルトが近づいて来る。
「ほれ、パス」
「ああっ!見るなー!」
「…コレは…凄いな…!」
「止めろ!そんな目で俺を見るな!!」
ハルトにケータイを投げて渡すと画面を見てエリアと見比べ、意外そうに呟く。
「…凄いよね…トップモデルよりも綺麗で、アイドルよりも可愛らしいんだもん…」
「お、お…俺は男だー!!」
ショコラの呟きにエリアが絶叫に近い叫びで返したところで、俺はハルトからケータイを受け取り研究所を出た。
そしてそこらへんの馬車を拾って近くの公園まで行き、ポーチから折りたたみ…以下略。
いつもの公園に影移動した俺は一応エリアとの約束を果たすためにリザリー達の居る研究所へと移動する。
「うぃーっす」
「あ、村さん」
「リザリー達は居る?」
「あ、はい…まだ帰っては無いと思います」
適当に挨拶しながら研究所に入り受付嬢に聞く。
「そ、どこに居んの?」
「えーと……クレイン所長とサナンカ副所長は第4研究室で、クルシェイル所長は第2休憩室ですね」
「ありがと」
「いえいえ」
俺は受付嬢から居場所を聞いてお礼を言いとりあえずマキナの居るであろう部屋に向かった。
「ちーっす」
「…あ、程人君」
「リザリー達はまだ仕事中?」
「うん、でももうそろそろ来るんじゃないかな?」
…夜も遅い時間なのに頑張るなぁ…ご苦労な事で。
「そうか、んじゃま…」
「エルーに用なの?」
ソファーに座ってるマキナの隣に少し間を空けて座ると珍しそうに聞いてくる。
「おう、エリアから預かり物があってな…」
「へー…急ぎでもないのに、こんな時間にわざわざ?」
「…言っとくがBL的なナニカは皆無だぞ」
マキナが何を考えて…考えようとしてるのか大体は想像がつくのでとりあえず釘を刺す事に。
「ええー…つまんないのー…」
「じゃあ面白いモノ見るか?」
「面白いモノ?」
つまらなそうに呟いたので俺が聞くとマキナは不思議そうに可愛らしく首を傾げた。
「ん、コレ」
「?ケータイ?…しゃし……ん!!?」
俺がケータイの画面を見せると不思議そうにしていたマキナの表情が変わる。
さっき撮ったエリアの写真にマキナは信じられないモノを見るように何回も瞬きをした。
「え?…コレって…!」
「察しのとおりエリアだよ」
「う、うそ……ぷっ…ふふっ…!ははっ!あはは!!」
俺の返答にマキナはジワジワと込み上げてきたんであろう笑いを堪え切れずに声に出す。
「面白くね?」
「あははは!凄いよ!あの、エリア君が…!良く、撮れたね…!ふふっ…!」
「…随分楽しそうだけど、何かあったの?」
「…お?なんだテイト、来てたのか」
マキナが笑い過ぎで出た涙を拭ってるとリザリーとエルーが部屋に入って来る。
「ん?ああ、ちょいと面白いモノが手に入ってな」
「「面白いモノ?」」
俺の言葉にリザリーとエルーはさっきのマキナと同じ反応をした。
「おう、コレ」
「…えっ!?…コレって…!」
「…はっ!?おまっ…!コレ…!」
「お前らの察しのとおりエリアだよ」
ケータイを見せると二人はマキナと全く同じ反応を続けたので、俺も同じ言葉を言う。
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