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「…なんでそこまで一途になれんの?」
病的なまでに式使のお姉さんに対して一途だがもしコレが病気だとしたら…
おそらく今までに無い良い病気だろう。
相手が浮気すれば自分に至らない所があったのか…と反省。
別れを告げられれば相手の幸せを願い送り出す。
常にパートナー?の女の幸せしか願ってない。
誰にも迷惑がかからないから、画期的な…絶対に流行らせたい病気…精神病?になるでしょ。
「…あの頃はまだ今の紫も黄も居なく、俺には黒だけが唯一だったから…か?」
「いや、俺に聞かれても…子供の頃の思いってのもヤバいんだな、コレは良い意味でだけど」
「程君は居ないのか?」
「なにが?」
式部が急に俺に振ってくるもんだから適当にとぼける。
「好きな人とか…いないのか?」
「いるに決まってんだろ」
馬を走らせながらの意味不明な恋愛トーク?に流れつつあるのを怠く思いながら答えた。
「藍架に愛梨に母さんに…いっぱいいるわ」
「…その好き、か」
「想像してた答えに添えなくて残念だったな」
おそらく『愛してる』っつー意味の『好き』を期待してたんだろうよ。
「いいや、その答えも想像の範囲内だ…俺は程君ほどじゃないからな…おそらく一生黒を愛するだろう」
…ったくコイツは…
なんで臆面もなく、恥ずかし気もなくそんな事をキッパリと言い切れるのかね。
本当に羞恥心っつーモノは存在しないのか?
「どうせ俺は小心者で臆病者だよ…ま、笑わないと思うが」
「人を信じるというのも難儀だが…人を信じれないというのも難儀なモノだ」
「俺からしたらなんで人間を信じれるのか不思議でしょうがないけどな…」
なんでこんな俺みたいなヤバい性格になる可能性を持つ奴らを好きになれるのか疑問だぜ。
人間とか云う『美麗のメッキに覆われた醜悪の塊』を愛せるなんて異常だろ。
そんなのを信じても良い事なんて皆無やわ。
まだ疑って何かあった時のために備えてる方が最悪の事態は避けられるし。
「人を利用しようがしまいが人に利用される…世の中理不尽だな」
「みんながみんな裏切らない優しくて甘い世界なら俺にだって愛する人ができるだろうよ」
今みたいな誰もが裏切る厳しく苦い世界じゃ一生かかっても人を愛せないけど。
「はっはっは、優しくて甘い世界か…人間が感情や個性を無くさない限りは不可能だと思うぞ」
「向上心や進化ってのが他人を裏切り貶める要因だからな」
自分が今より良い環境に進む為に他人を踏んでのし上がるっつーのが人間の本能だろうから。
なんせ俺だって元人間。
現在進行形で醜く汚い塊を増幅中です、っと。
ソレを嫌悪してるから自殺するか?と聞かれても絶対にNO!って答えるが。
「おっと…そうこうしてる内に着いたか」
馬を止めると式部家や式使家のような大きな門がある場所に到着。
「いやー…途中で警察とかと遭遇しなくてラッキーだったぜ」
銃4丁と刀一振り持ってんだから見られたら職質だけで済まなかったって。
しかもこんなカオスなファッションだから余計に怪しまれるぞ。
…もしかしたらもう誰かに通報されてたりするかも…さっさと潰して終わろう!
「全くだ」
人通りや車通りが少ないからか式部はその場で馬を紙に戻して俺の言葉に賛同する。
「道案内ごくろう、あとは俺がやるから待っとけ」
相手も銃で武装してる可能性があるんだから最悪、銃撃戦になるかも。
そんな状態で普通の人間である式部が居たら危ないだろう。
…どうしようもないド変態だが死なれちゃあ困るんだよね。
「気遣い無用、その刀を貸してくれれば自分の身ぐらいは守れる」
「はいよ、危なくなったら逃げて隠れろよ」
俺は腰に差してる刀を式部に渡して一応注告した。
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