21
ショコラが速攻で倒したあの合成獣も俺らからしたらギリ雑魚の部類だし。
ありゃ無駄にデカイってだけ。
大きさに見合った戦闘力が伴ってない。
っていうか強度が無さすぎてショコラが剣を真っ二つにした時とか笑いを堪えてたからね?
実際の…つーか元々?の壊れる前の旧時代の遺物だったらかなり苦戦してたと思うけど。
どこの誰がぶっ壊したかはしらんが相当の実力者だろうよ。
確実に俺ら化物レベルの。
「…ジリ貧…」
「…このままじゃ負けるのも時間の問題、だな」
「何を弱気な事を…まだやれる!」
俺と女の子は今の状況をちゃんと把握してるのに…
少年は明らかに虚勢を張ってると分かるような強気な発言をした。
「うおおお!!」
そして無謀にも真正面から突撃して行く。
「…!?それは、無謀…!」
流石に女の子も少年を止めようと手を伸ばすがギリギリで届かない。
…操者は撤退したとはいえ、ゲームでいえば多分まだ序盤だぜ?
で、なんで少年はこんな序盤でここまでの苦戦を強いられてるのかねぇ?
普通はここまで苦戦するのは中盤以降だと思うんだけど。
「ぐはぁ!」
当然のごとくサイクロプスと戦ってる最中に猪頭からの横やり。
ソレをまたしてもモロに受けて吹っ飛ぶ。
「ま、まだだ…!」
ライトアーマや服がボロボロにも関わらず少年は立ち上がる。
…おう、俺の直勘が反応した…ってか閃いたぞ。
おそらく…98%の確率で、少年はサイクロプスと猪頭の攻撃を同時に受けそうになるハズ。
そこで何故か女の子が乱入して少年をぶん投げ身代わりに…的なパターンになるな。
その展開から予想するとソレに少年がキレて潜在能力を一時的に爆発。
んで二頭を瞬殺してバタリ…って所か。
…女の子も重傷を負うけど死なないから俺としては願ったり叶ったり、なんだけど…
ソレが一番楽で手取り早いルートだとしても今の俺は女の子を犠牲にする事を良しとはできん。
つーワケで、女の子が少年の身代わりになった時に結構強めな魔術を使って二頭に甚大なダメージを与えたいと思いまーす。
そうすりゃ後は女の子が決めてくれると思う。
「グオオオ!」
「ブヒィー!」
「く…!」
予想通り猪頭とサイクロプスが少年に向かってダッシュした。
サイクロプスは手に持った棍棒を振り下ろそうとして猪頭は獣のごとく四本足でダッシュしてるから、多分デカイ牙でグサリ。
「…っ…!…に、げて…!」
「なっ…!?メルト!?」
二頭の攻撃の直前でやっぱり女の子が割り込み少年をぶん投げる。
「…あ…」
少年に向かって何かを言おうと口を開いた時に猪頭のデカイ牙が女の子の身体を貫く。
「メ…!」
「グ…?」
だが残念、それは蜃気楼とかいう幻だよ。
本物はお前の5m左さ。
猪頭が不思議そうに首を傾げる中、サイクロプスが女の子の幻に向かって棍棒を振り下ろす。
地面が割れ、猪頭の牙が砕けるほどの威力だったが悲しい事に攻撃したのは幻。
一つ目巨人の渾身?の一撃は空振りに終わった。
よし、ちょうど詠唱終了。
「ライトニングサイクロン」
ボソッと呟くと二頭に大きな雷が落ち、その雷が竜巻のように渦を巻いて上昇する。
直ぐに消えたから時間にして10秒にも満たない攻撃だったが威力は十分。
二頭の姿が視認できるようになった頃には全身黒く焦げて倒れていた。
まあ瀕死半歩手前になるよう威力は調整しておいたからそろそろ立ち上がるんじゃないかな?
「…くっ…まだ、立つのか…」
あのレベルの技を余裕で出したってバレたら隠してる俺の実力がバレそうなので、片膝を着くという演技をする。
「「ガ、ガアア…」」
あの二頭も瀕死なので地面に手を着いて苦しそうに唸った。
「…っ…!コレ、で…!」
ちょうど良い位置に頭があったからか女の子が二本の短剣で二頭の首を落としてトドメを刺す。
…おいおい、アイツ何か隠してるとは思ってたけど…
俺と同じで実力を隠してたのかよ。
今の動きを見る限り…あの三頭を一人で軽く倒せたんじゃねぇの?
…ふーむ…今の少年の倍は強いな。
実力を隠してるって事はアイツも何かしらの目的があって接触してきたって可能性も無くはない。
が、俺と同じ目的っつー事はありえないだろうから別の何かか。
…まあどうでも良いけど。
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