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「はあ?じゃあ俺は殺られる前に殺るぞ?」
「やれるもんなら…」
「出来ないと思うか?例えば…だ、俺がココから逃げて一般人に変装したら見つけられるか?」
「く…!」
お前らの顔は覚えた、一般人に変装してお前らが車に乗ってる時にダイナマイトでも投げつければボン!だぜ?
おっさんの目の前で手をグーからパーに変えて表現する。
「お前は俺の事を知らないようだが…藍架、俺が前にどこに居たかこのハゲに教えてやれ」
「ハゲじゃ…!」
「ユニオン兵士養成学校」
焦って否定するおっさんを気にもかけず俺を警戒した目で見ながら告げた。
「…!ソコは世界最高峰と呼ばれる超難関のエリート校だぞ!?」
「俺は…まあ7学年まで在籍したわけだが、暗殺技術ぐらいは身につけてるぜ?」
才能が無く、落ちこぼれ一歩手前の俺でさえ…あの伝説の殺し屋なんて比較にならないくらいの技術があるんだ。
それでも俺を敵に回すかい?
手を広げて、どうする?と問いかけるような仕草を取る。
「ぐぐ…!」
「あ、藍架ちょっと耳貸して」
「なによ」
歯ぎしりしてるハゲを無視して刀に手をかけてる藍架の隣に移動した。
「俺、実は妖怪の力…抑えてるってば」
「はあ!?」
「シー…!声がデカイ、一応ソレが人工衛星に反応しない要因の一つだ」
「そう言えば…あんたは妖怪なのに仲間達はそれに気付いてなかったような…」
他の人に聞かれないようにコソコソと小声で話すと藍架は顎に手を当てて考え始める。
「今の力は生前と変わらないぐらいに抑えてある…家族以外絶対誰にも言うなよ?」
「それってつまり…程人はまだまだ強くなるって事?」
「…ん~…そだな、全力を出せば円卓の騎士ぐらいなら軽く殺れる」
「っ…!?」
何気ない一言に藍架は驚きすぎて声も出ない様子だった。
…もちろん身体能力も魔物の能力も全開にした上で、って意味なんだけど…
身体能力の事だけ伝えておけばいいか。
何度も言ってるんだけどさ…
相手が人間で、殺すだけ。なら俺に殺せない奴はいない。
断言してもいいぜ。
まあソレが出来るのはなにも俺だけ、ってわけじゃないんだけど。
俺が知る限り、どんな人間が相手でも殺せる。って奴は8人いる。
自分を合わせたら9名だな。
この9名は生前、俺が所属していたユニオンの超特殊部隊『ドッペルゲンガー』のメンバー達。
当然その中での実力は俺がぶっちぎりのビリで9番目ね。
抑圧という唯一の才能のおかげで入れたにすぎないし。
役割は主に暗殺のみ。
司令官から指令を受けて世界のどこにでも行って指定された奴を消す、って感じの。
時に一般人と同化して剣やナイフで首を刎ね
時にコックになり食事に毒を混ぜ
時に警備員や治安部隊、警察や軍に紛れて首を刎ね
時に部屋に毒ガスを撒き散らす。
殺す方法は様々だが…絶対に守らないといけない条件がある。
治癒魔術でも治らないダメージを与えた殺し方をする事。
首を刎ねる時でも綺麗にスッパリ刎ねるんじゃなくて…
斬り離した時の細胞がダメになってるように刎ねる。
そういうケースのほとんどがノコギリとか少し刃こぼれした刃物を使ってるんだけど。
あとは首を捻じ切るとか、出血多量にするとか…
毒でも結構強烈なのを使ったり。
一番良いのは心筋梗塞や脳梗塞といった症状を起こす薬。
卵の黄身あるじゃん?アレを凝縮したものに、更に栄養価がかなり高い物を投入して粉末化したもの。
その薬を混ぜた料理を一口でも食べたら即あの世行き。
そういう場合は確実に変装してるから、バレる事なく直ぐに逃げれるし。
未解決事件として犯人が捕まらないまま迷宮入り。
その国から逃げる際にも…ユニオン向けの船に乗る観光客がトイレに入るのを見計らって、ちょちょいと個室で眠ってもらいそいつに変装すれば怪しまれる事も無い。
パスポートや身分証明書も借りて、ユニオンに着いた時にトイレに放置しとけばいつの間にか持ち主の元に戻ってるし。
ドッペルゲンガーはいくつもの顔を持つ。
それに…見たら死ぬんだろ?
誰にも知られる事のない暗殺部隊にとってココまでピッタリの名前とか無くね?
因みに成績?的なアレは俺がダントツのトップ。
指定された獲物は絶対に逃さず仕留めていた。
なぜなら…俺に指定された獲物は全て成人以上の男性だったから。
女子供が標的の場合は他のメンバーに割り振られてて…当然ながら俺には一度もそんな指令は来ていない。
だって…ねえ?
もう前科ありありだから司令官もソコを分かっててくれたんだよね。
おっと、言い忘れてたが暗殺は基本的に日帰りだ。
超特殊部隊に入ったからカリキュラムが免除される…なんて事は無いからな。
出来なかった分は休みの日にやらなければならない規則だったし。
それも教官に頭下げんだぜ?
『自分がノロマな所為で教官の仕事を増やしてしまい、誠に申し訳ありません。是非とも自分のカリキュラム消化に付き合って下さい』って言いながら。
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