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「お帰りなさいませ、どうでした?」


「当然全勝、キツかったけど」


「お姉ちゃん聞いて!おとーさんってば、手加減してくれないんだよ!」


「…全然攻めてない」


「あ…そういえば私達に攻撃してないね」



ワーワー吠える子と冷静に分析する子。



ここだけ見ると子供らしいんだが、戦いで言えばそこらの軍人じゃ相手にならないぐらい強い。



「スタンスは変わらないですね」


「まあそれが俺だからな」


「お昼ご飯の用意が出来てますよ」


「わーい、おなかペコペコだよー」



食堂からメイドが顔出して子供達は我先にと駆け出して行く。



「あいつらがあのまま成長すると思うと怖いぜ」


「親は子に越される運命ですからね」


「はぁ…考えても仕方ないか、昼飯でも食べよう」


「そうですね」



クスクス笑うメイドと一緒に食堂に入ると既に子供達はご飯を食べ終わっている。



…にしてもあの歳にしてはかなりの量を食べるなー。



「おとーさん外に行こー」


「はいはい」


「…ほんと?」


「やった!」



昼食を食べ終わりメイドが淹れた紅茶を飲んでるとまた下の子達がやってきた。



いつもは会わないんだから今日ぐらい付き合ってやるか。と思い、返事をすると目をキラキラさせる。



「今日はねー…あの森行こー!」


「…お花つみ?」


「それとも狩るの?」



…なんだ?今物騒な単語が聞こえたような気がするが…



俺の不安を他所に家を飛び出して行く子供達を追いかける。



「コッチだよー」


「…下の森」


「今日はなにがいるかな?」


「ちょっ…!?」



敷地内の森を抜けた先にある断崖絶壁の崖を、下の子達はなんの躊躇もなく飛び下りた。



高さは3、40mもあり、下は流れの早い渓流だ。



普通なら自殺志願者以外は飛び下りない。



「よっ!」


「…!」


「あー」



崖に横向きに生えてる巨木に着地して、そこから更に跳躍して崖の向こう側に移る。



そのあまりに慣れた行動を見てた俺はかなりの衝撃で言葉が出ない。



……え?



コレってメイド達は知ってるの?



一応崖を滑り、下の子達と同じ巨木に着地してから崖下の向こう側までジャンプした。



「なあお前ら…コレってメイド達は知ってんの ?」


「うん、何回か連れてきたよ?」


「…すごい驚いていた」



そりゃ驚くだろ、つーか危険過ぎるわ。



たかが5、6歳のやる事じゃねえよ。



「この先に森があるんだよー」



待てよ?この先って地図的に……危険度Aの場所じゃん。



「グオォ!」



俺たちが森に入ると同時に魔物が複数襲ってきた。



「…マジかよ」


「えい!」


「…我に仇なす…」


「あはは!」



俺が無名で後ろから来た一匹を斬り裂くと、下の子達は体術と魔術で他の7匹の魔物を倒してた。



…通りで強いわけだよ、毎日のようにこんな危険区域で遊んでるっつーんだから…



「何も言われないのか?」


「うん」


「…経験は大事だって…」


「危ないと思ったらちゃんと逃げてるよ」



……こんな小さい子と経験の差が埋まりつつあるってのか。



いかにも俺の子らしい行動だけどさ、血は繋がってないぜ?



やっぱり性格云々は血じゃなくて家庭環境なのか?



あいつら放任主義の割にしっかり躾とか教育してるんだよなー。



「あ、おとーさん…ここからは静かにね」


「…気配を消して」


「この木の近くにヤバイのがいるの」



…気配の消し方も完璧ですかい。



超英才教育+野生で培う経験か…あと5年では負けるかも。



んでもって10年後には追い越される。



その後、下の子達と薬草を採ったり、花を摘んだり、魔物を狩ったりと…日が暮れ始めるまで危険度Aの森にいた。



「夕方か…そろそろ帰るぞ」


「「「えー!」」」


「夕飯に間に合わないと飯抜きかも」


「じゃあ早く帰ろ?」



俺が先に森の入り口に向かって歩いてると、下の子達が慌てたように急に走ってくる。




「「「おとーさん!!ダメ!!」」」


「は?」



下の子達の声に振り向き立ち止まると、木々の間からデカイ魔物が襲いかかってきた。

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