18
「てめえら何してんだよ」
「なんだ貴様は?……ふん、天界の領域を侵し者か」
「この前の…?」
「何故ここに…」
神と女神が男を庇うように前に出た。
「お前らがその人間を巡って内戦を起こさないか、と心配してる奴から頼まれたんだよ」
「なに?」
「神や女神が揃いも揃ってバカみたいに一人の人間に執着しやがって…周りの迷惑も考えろや」
俺は心底見下すような目で吐き捨てるように言う。
「貴様…それは暴言と心得ての発言か?」
「はっ、偉そうにしやがって…コレを見てもそんな事が言えんのかぁ?」
腰に差したバーンアクセを抜いて神達に突きつけた。
「それは…!宝剣、バーンアクセ…!」
女神達は俺の持ってる剣を見てギョッとなる。
この宝剣は当然、天界に住む神や女神にも有効だ。
「コレで斬られりゃどうなるかも知ってるよな?」
「ふん!」
俺が神達に問うとその中の一人の神が後ろから攻撃して来た。
一瞬たりとも目を離してないハズなのに動いた瞬間さえ捉えられない。
動いた瞬間は分からなくても動く瞬間なら分かる。
目線、重心、筋肉の動きに注意しておけば大体の動きは読めるんだなー。
予備動作無しで動けるのはロボットぐらいだし。
俺は左に軽くステップして避け、腕を斬り落とそうと剣を振った。
だが瞬間的に避けられて剣は掠った程度。
まあ掠った程度でもいいんだけど。
俺を攻撃した神は徐々に透明になり…その姿が消える。
「ラジアがやられたか…」
「どうする?神の攻撃からも逃げれる程の逃げ足を持つ俺と勝負する?」
俺は剣をほんのちょっと当てるだけで良いから楽だ。
「貴様…何が目的だ」
「そいつを元の世界に戻す事」
渦中の青少年がいなくなれば多少は落ち着くでしょ。
「おいってば!!」
さっきから何かを呟いていた青少年が叫ぶ。
「何がなんだかさっぱり分からないんだが!どういう状況!?」
「てめぇの存在が天界に迷惑をかけてんだよ、無自覚で天然のトラブルメーカー?笑えねえ」
「は?もっと噛み砕いて分かりやすく言ってくれ」
「はぁ…お前の、存在が、天界に、迷惑を、かけてる。ドゥーユゥーアンダースタン?」
俺はため息を吐いて区切り区切りで話す。
「オー、オッケー!……ってなるか!意味分かんねぇよ!」
「頭悪いなぁ、まああの世界ではこんなバカが標準だし」
「人が黙って聞いてればバカにしやがって…!」
言葉の使い方は当たってる?お前全然黙ってないじゃん。
これだからバカは…嫌になる。
「!危ない!」
俺は影移動で青少年の後ろに瞬間的に移動して背中から剣をぶっ刺す。
…まあとっさの女神の行動で青少年には刺さらなかったんだけど。
代わりに女神の腹に剣が深く刺さった。
「…!アテナ!」
あーあ…流石は戦の女神、良い反応してやがるぜ。
俺と青少年は多分30mぐらいは離れてたハズ。
その位置から1秒も満たない攻撃を後ろからしたのに、よく反応できたな。
反応できて、しかも庇うまでの行動が間に合うっていう。
あーあー…やっぱり神や女神を相手にすると分が悪すぎ。
剣を引き抜いてさっきと同じぐらいの距離を取った。
「お前!なんでそんな酷い事を平然と出来るんだ!」
「痛みは感じねぇよ…って言うか元々お前には効かないけどな」
だって天界の者じゃねえし、ただ刺さったように見えるだけだよ?
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