04
「はあ~…」
「朝っぱらから辛気臭いため息を吐かないで」
「あんだけ疲れたんだから吐きたくもなるだろ」
翌朝、今現在俺が居るのはリザリーの家だ。
アレから早いものでもう一日が経過した。
「自業自得でしょ」
「俺は人類の為を思ってだな…」
「そもそもあんな研究をしなければこんな事態にはならなかったのよ」
「あの頃の俺に言ってくれ」
今の俺には昔の事を詳細に思い出せるだけの記憶力などない。
別に病気とかではなく、ただ単に頭が悪…げふん!記憶力が悪いだけだ。
「あの頃も今も一緒でしょ」
「考えが違う」
「ああ、頭が悪くなったのね」
…間違ってはない、間違ってはないんだが、もう少し言い方と云うモノをだな……言うだけ無駄か。
「なに黙ってるのよ、ついに言葉も忘れたの?」
「それは忘れようがないだろ」
「!?」
「驚くな!」
まさか…そんな…!そこまで進んでたというの…!?的な表情をされた。
さすがの俺も微妙に傷つくぞ。
「ご褒美に膝枕してあげたじゃない」
「アレ、ご褒美だったんだ」
マジか!今考えればめっちゃ美味しい思いしたよな!?
く~!あの強烈な睡魔さえなければ色んな所を触やー触やーしてたのに!
スラッとした脚とか、何気にお尻とか触ったり…そして胸とか…!
その後ピンク色の雰囲気に持って行ってそのままベッドイン!とか出来たかもしれないのに…!
あ~…!もったいねぇ~!
「何よ、アレじゃ不満なの?」
俺が妄想全開で後悔してるのを呆れて絶句してる、と勘違いしてスネたような不機嫌な声を出した。
「不満?なんで?充分過ぎて俺にはもったいないぐらいだったぜ?」
実際もったいなかったんだけどな…めっさ凹むわぁ…
「そ、そう…?まあ冗談なんだけど」
「だろうな、ご褒美にしては上手すぎる話だと思ったんだよ…誰に見せつけてたんだ?」
「…やっぱり気づいてたのね」
言葉とは裏腹にリザリーが少し驚いてるような気がする。
「同じ研究者よ」
「同じ?って事は強いのか?」
「違うわ、同業者…ね。ずっと研究一筋でヒョロっこいの」
「ああ、そっち…普通の奴か」
『同じ』って言うから戦えるのかと思ったぜ…戦える研究者なんて稀だからな。
「前から私もマキナも複数人に言いよられてるの」
「好きです、付き合って下さい。的な?」
「そう。最初はエルーと付き合ってる、って事にしてたのよ…マキナも」
「三角関係か…上手い事やったもんだ」
それならマキナも同じ言葉を使える…三角言いがち角が立たない言い方だよな。
「最近ナターシャが来たじゃない?アレをエルーの恋人だと思ったらしいの」
「実際はただの妹なのに…ああ、ソレでまた言いよられた。って事か」
「正解よ。だから今度はあんたを利用した」
まあ結果的に良い思いをしたわけだし…ラッキー、的な?
きっとエルーもそう思ってただろ、同じ男なんだから。
「マキナも多分やるわ」
「マジか、付き合わないとダメ?」
「友達なんだからそれぐらい付き合ってあげなさいよ」
「へいへい…」
美味しい思いをするなら大歓迎だけど…なーんか面倒な事になりそうな予感がするんけど…
俺の直勘が働いてるのか?でも避けられねぇよな、友達なんだし。
「どうせ彼女とかいないでしょ?」
「当たり前だろ」
「こんな状況でも無い限り女の子とデートなんて機会…そう無いわよ」
「…頑張ればいける」
俺だって顔は悪くないんだし……でもモテた事無いしなぁ…
「あんたが?テクニックの無い素人には無理よ」
「ぬぐ…そういうお前はどうなんだよ」
「とっくに大人よ…身も心も…ね」
「身も!?それって……俺、まだなのに…」
「は?程人も大人でしょ?あ……身体は、だけど…」
マジで!?俺の知らない所で大人の階段登ってたの!?
ってかなんかリザリーがしまった…!みたいな顔して口を手で抑えてるんだけど…今なんて!?
「は!?おい!おかしいだろ!なんだ今の発言!」
「口が滑っちゃった☆」
可愛い…!…じゃなくて!今の発言の真意を確かめたいんだけど!
結局、質問責めにしたが誤魔化したり流されたりで真意は確かめられなかった。
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