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どうせあの後の色々の事だろ?



別に隠すようなやましい事は無いからいっか。



「じゃあ遠慮なく、まず最初の質問…さっき私をナンパしようとした?」


「!?」



質問の初っ端から思いも寄らない変化球だった。



もはや魔球と言うべきか。



「答えられない?」


「いやいや…ナンパなんてそんな、俺はそんな軽い男じゃないよ?ただこの状況を聞こうとしただけで…」


「そう、じゃあ次ね…私って美人?」



某都市伝説に出てくるマスクした女みたいな質問!?



「ああ…見た目だけならトップクラスの美人だよ…容姿だけなら」


「これでも?」



だから…!なんだそのマスク女みたいな質問は!



「性格も合わせると…普通かな?」


「そう…じゃあ次…なんで動けるの?」



なんで動けるの!?…生物だからってしか答えられんよ!?



「生物だから?」


「あ…違くて…」


「ん…?あ、そういう事か」



体が動かし難いとかそう言ったアレに関する質問か?



「気合いと根性?」


「そう…あなたが昔言ってた『精神は肉体を凌駕する』の研究論ね」



あなた…?なんか違和感があるな…



そういやさっきも『貴様』とか言ってたような…



「大体データは取れたわ、ありがとう」


「え?質問ってそれだけ?」


「?そうよ?」



リザリーは理解出来ない、と言った感じだった。



「あんたって本当の化け物になったのね」


「俺にだって傷つく心はあるはずだよ?」



やばい…女の子に泣かされそうだ。



「バカにしてるわけでも傷つけるつもりもないわ」


「そうか」



こいつにとっては俺を傷つけるのは挨拶と同じようなもの…



いや、それ以前に息をするようなものなのかもしれない。



「あんた『アニフィラー』って知ってる?」


「ん?世界最大の麻痺毒か?」



確か0.05mgで象を動けなくする毒だよな?



「そう、スズメバチと並んで世界最大の凶悪さを誇る蜂が持ってる毒よ、0.1mgでクジラを動けなくする」


「まさか…俺にそれを?」


「うん、1mg注射した」



1mg…!?クジラの十倍じゃねえか!殺すつもりだったのか!?



「通常の人間なら0.03mgが致死量と言われてるわね」


「殺す気か!」


「エルーに予め魔物になったって聞いてたから…あ、普通の魔物は0.6mgが致死量だったっけ?」



だから殺す気か、て!通りで体が思うように動かないはずだ!



そんな危険な毒を盛られてたんかい、しかも1mgも…



てかどうやって手に入れたんだ?



シビレバチでも一匹の毒の体内保有量は0.01mgのはずだが?



「大丈夫よ、医学では麻酔薬としても使われてるから」


「…使われてる濃度は知ってるのか?」


「当たり前じゃない…0.01mgを50倍に薄めた0.005mgよ、それ以上は人体に障害が出ると言われてるわね」


「一体その何倍の量を俺に注射したんだよ!?」



流石の俺も叫ばずにはいられなかった。



「200倍よ?それがどうかした?」



リザリーはどこ吹く風といった様子で全然気にしてない。



それどころか、いちいちそんな事で騒ぐなよ。と言いたげな感じを出している。



「ってかなんで麻痺毒を注射したんだよ」


「逃げられないように」


「死んだらどうしてたんだよ」


「泣いた」



あまりにあっけらかんと言われたため真実かどうか疑わしい。



リザリーは俺の頭に手を乗せ、よいしょ。と立ち上がる。



「シビレバチの毒は普通のと違って感覚は残るようね」


「知らずに使ったのか?」



そんなの常識じゃないのか?医学用に使うやつは薄めた物に別の麻酔薬を混ぜるって聞いたような…



「…あんたみたいに人体実験なんてしないからね」


「は?俺だって記憶にないぞ?」


「覚えてないだけ、でしょ…非人道的な研究ばっかりしてたから心が無いなんて言われるのよ」



非人道的な研究???なんだそれ?全っ然覚えてねぇ。



「その顔じゃ完全に忘れてるみたいね…ま、即熱急冷じゃ仕方ないと思うけど」



即熱急冷…?ああ、熱しやすく冷めやすいって言う意味か。



俺が昔冗談で使ってたのをまだ使ってんのかよ。



他にも遅熱緩冷、遅熱急冷、即熱緩冷って使ってたな。

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