36 柔らかな白

まるで私は泡のたたないせっけんのようなのです。


いくら泡立てようとも削れてぬるい水に流れていくだけの、


ただそれだけの。


ほんとうは、真っ白な優しさで誰かの手を包みたかった。


誰かの手を。もしかすると、私の手を。




ああ、そうなのです。


ほんとうは、ほんとうは。


誰かの優しさに触れたかったのです。


誰かに向けたい想いと同じように、想いを返して欲しかった。


どうしても叶わないのです。


それでも、この願いは、望みは、きっと捨ててはいけないのでしょう。


だからいつまでも。


柔らかな白へ、手を伸ばすのです。

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