残夢

鈴木ハナ子

第1話

ここ最近、よく見る夢がある


女の子がずっと泣いている夢だ


その中で僕は何も出来なくて、ただ立ち尽くしている


何度同じ夢を見ても、結局僕は毎回何も出来ずに目が覚める


所詮は夢の中のことであるから、僕がそこで何をしたかなんて目が覚めたら関係ない


それなのに、毎回心に引っかかりを感じてしまう


布団から出ると、リビングに母親が転がっていた


母親の横でビールの缶が倒れて、床にビールが広がっている


タオルを持ってきて拭いていたら、母親が起きた


「ユウくん…」


僕の知らない人の名前を寝ぼけて言いながら、母親はトイレに駆け込んで、それからすぐ嘔吐した


部屋の片付けが終わってから、時計を見るともう8時だった


母親に学校に行って来ることを伝えて、家を出た


たまに、自分の家は他の家と比べてどうなのかと考えたことがある


他の家は、両親がいて、朝起きたらご飯を作ってくれていて、夜はみんなで食卓を囲み、寝るときは川の字になって寝ているのだろうか


自分の家は、普通ではないのかもしれない

そんな風に考えてしまう


比べたところで、僕の生活は何も変わらないのに

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