意味なんてないよ?

「疑問形?」

 彼女が振り返るとスカートの裾が翻る。小雨が髪を飾る。あたしは彼女の後を追いかける。

「わかんない?」

「ううん、わかる」

 赤い吊り橋の真ん中で、あたしたちは並ぶ。

「予備のボタン」

「青? 白?」

「白」

 手をつないで大きく前後に振る。声に出して笑う。

「長いストロー」

「曲がるやつね」

「じゃあ、切り取り線も?」

「鏡のフタも」

 滝の音がここまで響いている。走り出したタイミングは一緒だった。

「わかってるよね」

「うん、わかる」

 傘はとっくの昔に投げ捨てた。



終わり

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