いとおしい人

 玄関の前に蛾の死骸がよく落ちている。

 手洗いの水道のセンサーがなかなか反応しない。

 携帯の電波がいつも一本足りない。

 図書館で借りた本に髪の毛が挟まっていることが多い。

 それなりに混んでいる電車内で、隣の席がずっと空いたまま。

 何もないのに「どうしたの、大丈夫?」と皆から聞かれる。

 それでも「毎日楽しい」と笑っている。





終わり

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