05 奇跡のメロディ

第37話

「んー

 空が泣いているなぁ」


 秋夫がそう言って空を見上げる。


「秋夫さま」


 そう言って赤いスーツの男が現れる。


「赤服か……

 どうした?」


 秋夫が、静かに赤服の方を見る。


「登さまの居場所がわかりました」


「そうか」


「はい。

 居場所は――」


 赤服がそう言って空に指を向ける。


「空……?

 つまりテオスか?」


「はい。

 アインに捕まっています」


 赤服が、そう答えると秋夫が目を細くして頷く。


「ところでアンタは誰だい?」


「僕は、僕さ」


「違うんだよねぇ」


「うん?」


 赤服の男が、サングラスをうえにクイッとあげる。


「違うんだよ。

 ウチの服と君の服。

 色がちょっと違うんだよねぇ。

 ウチの服はもっと情熱のように赤いんだ」


「ほう?

 この服、殺して奪ったんだけどなぁー

 やっぱりバレますぅ?」


 赤服の男が、そう言ってサングラスを外した。


「その赤い目は……」


 秋夫が赤服の男を睨む。


「クルテゥフ神話のアトラク=ナクアってわかりますか?

 僕の名前は白銀。

 そして、この赤い目はね強い証拠なんですよ。

 魔族であるこの僕の強さの象徴なんですよ!

 なので、サヨウナラ……」


 白銀と名乗る男は、そう言って人差し指を秋夫の方に向けた。

 すると指先から糸が放出され勢い良く秋夫の方に飛び出す。

 秋夫は瞬時に自分の能力で移動しその場から姿を消した。


「そう、それでいい。

 それでいいんです。

 さぁ、テオスとコード893の戦争が見れますよ。

 クク……ククククハハハハハッハハ!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る