第22話

「糞が!糞が!このモブが!

 なんの能力もない雑魚の分際で、能力者である俺に歯向かうんじゃねぇよ!」


 健太が、そう言って再び百道を殴ろうとしたとき。

 それを止めた男がいた。

 男の名前は、セロ。

 男は冷たい目で健太を見る。


「やめとけ。

 それ以上やったら死ぬ」


「ああん?

 お前も俺に逆らうのか!」


 健太は、腕を大きく振り回しセロの顔を睨む。


「お前もお前だ。

 なんで殴り返さない?

 能力者じゃないにしても少しは抵抗しろよ」


 セロは、健太のことを無視して百道の方を見た。


「俺は、自分より弱いやつには手を出さない」


 百道はそう言ってセロから視線を離す。


「お前!まだ言うか!」


 健太が、大きく足を動かしセロから離れる。

 そして、視線をセロの後ろ。

 後ろでおとなしく見ているオトネの方を見る。


「なんだよ、いい女連れてるじゃないか」


 オトネは、小さく笑う。


「もう、褒めてもなにもでませんよ?」


「まぁ……

 お前いい女だから、俺の女にしてやるぞ?」


 健太がそう言うとオトネの目が冷たい表情へと変わる。


「私は、ご主人さまだけのものですますよー」


 オトネの言葉に健太が怒鳴る。


「お前ら無能能力者は、能力者に従うべきだ!

 俺はエース!高速のスクリュー健太だ!」


 健太は、そう言って脚に力を込める。


「だっさい名前」


 百道が、小さく笑う。


「ああん!?」


 健太の表情が怒りに満ちる。


「お前も刺激することを言うなって」


 セロが、そう言って百道にゆっくり近づく。


「別に……

 本当のことだろ?」


 百道が、そう言うと健太の方を見る。


「もう殺す!

 お前ら全員殺す!

 俺の経験値になれ!」


 健太が、そう言って地団駄を踏む。

 するとオトネが、健太の肩を軽く叩く。


「ちょっとお兄さん」


 オトネがニッコリ笑う。


「ああん?俺の女になる気になったか?」


「さよなら、哀れな人」


 オトネが、健太にデコピンをした。

 健太の全身に衝撃が走る。


「ああ……?」


 そして、意識を失いその場に倒れる。


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