第626話 炎の魔人.4

ドカンと大砲みたいな音をさせて、魔法陣が受け止めた冷気の塊をナリータへと撃ち出した。


済んででナリータと冷気の塊の中に割り込む。展開した反転の盾で、冷気の塊が上空へと撃ち上がり、遥か上空の空と思わしき部分が一瞬のうちに白く濁り、ひび割れた。こっわ!


「おっと!?」


ゴールデンが弾いた筈の尻尾が、跳んだ脚のすぐ下を風を纏って薙いでいった。


『どっせーい!!』


辿り着いたネコのソードテールが、タゴスの凶悪な両腕を切断。その時にも魔法陣が出るのかと思ったが、出ない。何か条件でもあるのか?


タゴスの本来の腕は切断されていないが、鉤爪はそのまま。しかしエケネイスを押し潰そうとしていた力が切断されたことによって支えを失って、タゴスはバランスを大きく崩した。


『ニャアーーーッッ!!』


ネコのハンマーテールが唸り、キリコとグロレが今だとばかりに襲い掛かる。

その攻撃をことごとく展開された魔法陣によって防がれる。


「アマツ君!凍らせてくれ!」


「はい!」


ユイが合間を縫ってタゴスへと奇襲を仕掛け、攻撃する寸前ユイの刀に巻き付いている水を凍らせた。

不思議なことにまたしても魔法陣が展開されず、タゴスは背中側を袈裟斬りにされた。

残念ながら甲殻がダメージを軽減させたらしいが、確かに効いている。


ユイへ尻尾で攻撃を仕掛けるが、ユイはひょいひょいと軽く避けて再び猛攻。今度は魔法陣で妨害されて攻撃が効かず。


オレの雷も、タゴスの甲殻の外側だけ通過している感じで効きが良くない。


「すいませーん!うちの相方の流れ弾行きまーす!」


ナナハチの声。


「!?」

「お前らそこ動くなーーー!!!」


そして、不気味な音と共にアウソの焦った声が届いた。

それと同時にエケネイスがある方向へと動く。


なんだと視線を向ければ、溶岩が津波のように襲い掛かってきていた。発生場所はノノハラとコノンの戦っている場所から。コノンが溶岩を激しく波立たせていて、その余波が来ている。


赤い溶岩の壁を、たくさんの魔法陣が堤防となって受け止めようとしたが、あまりの勢いに負けて決壊した。

そこへ更にアウソの海水の支援を受けたエケネイスが自らの体を壁にして溶岩の津波を受け止めた。


白い蒸気に包まれ視界が悪くなる。


そんな中、バギンと氷が割れる音がした。


「しまった!」


タゴス動きを制限していた足の氷を破壊された。


「逃がさないわよ!」


飛び上がったタゴスを、キリコが追い掛けて空中で回転、タゴスの背中を両足での回転踵落としを喰らわせた。


先程のユイの攻撃で脆くなったところに正確にダメージを入れられて甲殻が破壊された。


「もしや…」


氷のつぶてを生成し、反転の盾で殴ってタゴスへ向けて弾き飛ばした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る