第175話 滝の湖

たまに白い息が出る。

夏なのに、変な感じだ。


「あー、やっと温かくなってきた」


アウソが体を動かしたことにより熱を確保できたらしくホクホク顔でやって来た。


「ライハは寒いの平気なんだな」


「まーね、オレのいた所は冬になるとたまに雪降ったし」


「うへぇ、俺は駄目だわ。死んでしまうわ」


「ははは」


オレだって今は平気だけど冬眠の季節になったら死ぬ。


キリコももう少ししたら復活しそうな感じだが、アシュレイって強いけど、弱点も多くて大変だなって思う。


にしてはウォルタリカ出身のカリアは南にいても特に不具合は無さそうに見えた。服がギリギリ服としての機能を果たすくらいしか着てなかったが。


「カリアさんは寒さにも暑さにも強いんですか?」


「そんなわけないよ。ルキオだと暑すぎて食欲落ちるわ戦闘の時に熱が出て動きが鈍るわ、色々大変よ。それでも小さい頃から南下して慣れてるからまだマシってだけ」


「あ、鈍ってんですか」


あの速さでもまだセーブ掛かってたんですね。

思わず渇いた笑いが出そうになった。


一応、強さ的にカリアを目指してはいるのだが、寿命が尽きる前に到達出来るか不安です。


かっ飛ばせば三日の道のりを、雪に気を付けながら普通に五日掛けて到達した。ちなみにウォルタリカで野宿しようとするとキリコとアウソが死にそうに(たまにオレも)なるので、ちゃんと宿に泊まっていた。


鍋とかウドンとか餅とか。ご飯凄く美味しかったです。


「…え、これ全部滝?」


「そりゃ滝のモーク湖だし」


「モークってそういう意味なんスか」


辿り着いたモーク湖。そこは壁のように競り立つ崖から見渡す限りの広い範囲で滝が流れ落ちる所だった。その水が湖へと流れ込み、虹と霧を発生させている。


草が滝が発生させている風でサワサワと揺れ、煉瓦作りの家がたくさん建っている。

今までアジアンチックな国ばかりだから、ここまでファンタジーに出てきそうな所は初めてで感動した。


「うわぁ!!すげーな!!」


アウソが興奮している。


「ここは初めて来たの?」


「いっつもニャノーから西に向かうから」


「アタシは久し振り。やっぱり良いところねここは。清々しい臭いがする」


キリコがホッとした顔をしている。

珍しい。


ネコもフードから顔を出して辺りを見回していた。


「まずは宿をとってから、それから探索に向かうよ」

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