天使になれるかな

RYOMA

プロローグ 天使になれるかな

いつからだろうか、私が天使になりたいと思うようになったのは。真剣な将来の目標が天使ってのは一般的には問題があるみたいで、周りからは変な目で見られていた。しかしそんなことは私にとってどうでもいいことだった、だから真面目に天使になる方法を調べ歩いた。でも、どこにもそんな方法は無かった。


将来の夢は人それぞれである。パイロット、野球選手、アイドル、人は思い思いに夢を見る。その夢に向かって人は努力する。医者になりたい人は医学の勉強をする。アイドルになりたい人は歌や踊りの練習をする。そうやって人は夢に向かって前へ進むことができるんだろう。だけど私はどうやって前に進んだらいいんだろう。どこにもそんな方法は書かれていない。誰もその方法を教えてくれない。誰か天使になる方法を教えて・・


でも、私のそんな願いを誰も聞き入れてはくれない・・・


だけどその思いだけは、どんどん膨らんでいく。天使になりたいと思う心が私の小さい胸を押し広げ、そのままパンパンに膨らんだ風船のようになって破裂してしまいそうだ。その膨らんでいく思いに並行して、私はいつの間にか、不思議なが見えるようになっていった。


それはこんな感じである。


今日のお母さんは少し赤い色が混じった青色だ。それは少し機嫌が悪く、体調が良くない時の色だ。こんな時は不用意に近づくと、かなりの確率で小言を言われる。


お父さんは相変わらず、薄い青色と緑色。お父さんはほとんどこの色で、安定していると言うか、代わり映えしないと言うか、常に平穏な人である。


私の見えるのは人の生の色だけではない。見たくない色も見えてしまう。


おばあちゃんが長い闘病生活の末、去年亡くなった。入院していた病室の整理の為に、そこへ母と一緒に訪れた。病院では見たくない色をよく見てしまう。暗い顔で、ヨロヨロと廊下を歩いているおじいちゃん・・・これは怖い色だと直感でわかった・・それは漆黒・・・黒より黒い色・・死の色。


おばあちゃんが居なくなったベット・・優しいおばあちゃんらしく優しさの白色が溢れている。それと痛みの青色・・痛みに耐えて大変だったね、おばあちゃん。本当にお疲れ様。


私には生と死の色が見える。この色は他の人には見えないらしい。私は普通とは違うみたい。どうして、こんなものが見えるようになったんだろう・・私が天使になりたいと強く思っているからだろうか。もしかして・・・・私はすでに天使になっちゃったんじゃないのか・・・天使になりたいと強く思うこの心が。空のどこかに届いたんじゃないだろうか、そうだ、そうに違いない。


思いは必ず叶うものなんだ。それが奇想天外な思いでも、その思いの強さがその願いに届けば必ず叶う。なぜなら私は、天使になれたのだから。

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