この世界で唯一『スキル合成』の能力を持っていた件

なかの

第一話『スキル合成』

「いきなり・・・大ピンチ・・・だな、これ」

と僕はつぶやいた。


そう、ここは、異世界。

たぶん。そして、僕が対峙しているのは、大きなクマのモンスター。


「そもそも、クマって大きいけどね。」


このクマは通常のクマよりもかなり大きい。

まあ、それだけなら、ちょっと大きいクマさんかな、って思うんだけど。


『氷爪 - アイスクロウ』


そう、どこからともなく声が聞こえてきた上に

クマさんに氷の爪が生える。

しかも、当然、爪は比喩で、そんな大きさではない。


氷の剣だ。

三本の氷の剣が、爪のような形状で僕に

襲いかかる。


なんとか、避ける。


「よけた・・・この帰宅部の僕が・・・」

そう、そんなのは、たまたまだ。


もう一撃くらったら、間違いなく死ぬ。

転生した瞬間に死。

転生死。だ。


そんな単語があるのかは知らないけれども。


「僕にスキルはないわけ??」

と誰ともなく文句を言ってみる。


<<あなたのスキル>>

すっと、表示?される。


表示とは違うな、なんとなく頭に入ってくる。

天の声かこれは。


<<『風弾 - ウインドショット』>>

すっ、とさらに表示される。

表示と言ったものの、他の人には見えていない気がする。

自分にだけ感じる何か・・・のような気はする。


そのへんは、おいおい確認するとして。

『風弾 - ウインドショット』はかなり使えるんじゃないか

たぶん風の弾が打てるのだろう。


<<『炎拳 - ファイヤーパンチ』>>

さらに、表示される。


<<『スキ・・・

と表示されたところで

すぐ『炎拳 - ファイヤーパンチ』を発動した

今は一刻を争うからだ。


すると、手の周りに炎が絡みつく。

おおお、異世界観めっちゃ出てきたーー!!

やっぱりスキル使えるのか〜。


「すごい!すごいんだけど・・・!」

と僕は冷静に考えた。

この能力は『直接パンチを当てないといけない!!』


「いや、ムリでしょ・・・帰宅部の僕に、クマさんにパンチ当てる技量はないよ・・・ボクシング漫画じゃないんだから・・・」


と言う。


「ということは『風弾 - ウインドショット』に期待!!」


と言いながら


『風弾 - ウインドショット』

と放つ。


腕から風を切って、空気の弾のようなものが発射された。

「おおおおお、かっこいい!!」

と、緊張感のないことを言っている僕だ。


「ぐおおおおぉぉぉぉ」

と叫ぶクマさん。

おお、あたった!!当たったけど!!


「これじゃ弱い!!」

これだとやられてしまう。

そう、一瞬怯んだクマさんが僕をギロリと睨む。


「うん、ヤバイね。このままいただかれる。」

と、つぶやいたところで、はたと思い出した。

「最後のスキル何だったんだ?」

口に出した。それに天の声は答えた。


<<『スキル合成 - シンセサイズ』>>

表示された瞬間即決した。

「使う!!それ使います!!」

と僕は言った。

<<『風弾 - ウインドショット』と『炎拳 - ファイヤーパンチ』を合成して『炎弾 - ファイヤーバレット』を生成しました>>


そして僕は

『炎弾 - ファイヤーバレット』

を使った。


炎の弾は、クマさんに当たり、そのまま炎上させた。

そして、クマを倒した。


「す・・・すごい・・・」

僕は自分のスキルの凄さを理解した。

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