第63話お母さん! 魔法少女達の過去④
「よお。婆さん元気か?」
リズが扉を開けると西洋風な甲冑を着た40代くらいの悪人面をした大きな男が扉の前に立ち、不敵な笑みを浮かべている。
「ふん。あんたが尋ねてくるまでは元気だったさ」
リズはレミーやミーレに浴びせる罵声とは少し色の違った言葉を大きな男に浴びせた。
「ったく。つれねえなあ... ...」
「おい! あんた! 家に入るな!」
大きな男は小さく息を吐くとまるで自分の家に入るかのようにリズの家に入り、部屋の中央に設置されたテーブルの上に腰かけた。
なんだ? この男?
俺はなんとなくだが、この男が悪い奴ってのが少しわかった。
「おい。婆さん水でもくれや」
「あたしのしょんべんくらいなら飲ませてやるよ」
「ったく、口の悪い婆だよ」
一体、この男何者だ?
それにリズとの関係性は?
俺の脳内は複数のクエスチョンマークが浮かび上がる。
『そいつはナインスっていう国王軍の幹部だよ。漆黒の魔導士とも呼ばれている』
「あ!?」
俺は突然頭の中でした声にビックリして、まるで恫喝するかのように声をあげてしまった。
『あ!? とは何さ! あたしだよ! リズ・マクナガルだよ!』
ああ。
そういえば、さっき聞いた声だった... ...。
ビビりだから急に耳元で声出すのやめてよ!
「なんだ。さっきの人か。どうして、声だけの出演なんだよ!」
『あんまりマナを消費したくないからねえ。これが一番、効率的なんだよ』
なんだ... ...。
じゃあ、もう、オッパイ揉めないじゃんか... ...。
「そうか... ...。それは残念だ... ...。ところで、その漆黒の魔導士っていうちょっとイタイ奴は何でリズの家に来たんだ?」
『勧誘さ。私はこの国でも五本の指に入るほどの魔法の使い手だからね。国王は自分の手中に収めておきたかったんだろうさ』
「へえ~。おめえ、つえーのか。今度、おらと戦おうぜ」
『... ...? 戦ったらあんた死ぬけど? おら?』
どうやら、この世界の魔女には戦闘民族ジョークは通用しないらしい。
俺は金玉が潰れるのではないかと思うほどに恥ずかしくなった。
「で、とりあえず、あいつは悪い奴なんだな。あいつを倒せばミーレとレミーを救えるのか?」
『いいえ。逆よ。逆。あいつを倒さずに生かさなければいけないのよ』
「あ? 生かす? どういうことだ?」
『ま、見てなさい』
声だけの出演のリズが含みを持たせた発言をした直後、まるでTVの電源を切った時のように目の前が真っ暗闇に包まれた。
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