第46話お母さん! シルフのカップ数は... ...!?
____「ホワイトの家二階」____
「兄さん。ただいま」
「... ...」
ホワイトが扉をゆっくりとノックして、扉の向こうにいる兄に話しかけるが、何も返答はない。
今、二階の廊下にいるのだが家の北側の一番端にある兄の部屋の前は光が全く差さないので、1階よりも少し肌寒く感じた。
シルフを見ると腕を組んで何も返事をしないホワイトの兄に対しイライラとしている。
「ホワイト? お兄さんはご病気か何か?」
「病気ではないんだけど... ...」
ホワイトは言いづらい事があるのか、口を噤んでしまう。
「病気じゃないなら、返事くらい返せよ。こいつ、ニートかよ」と俺は思った。
ホワイトがそれ以上、兄に対して、言葉を投げかけようとしないので、シルフは自分からアプローチをかける。
「ホワイトのお兄さん! 始めまして! 私は、ホワイトの友達のシルフです!」
「... ...」
当然に、返事はない。当たり前だ。
普通、妹の友達が遊びに来ている時に妹の友達から話しかけられて、扉をノックされても返答はしない
何故なら、どうせ、妹の友達は兄貴の事をバカにしたいだけだから。
俺にも妹がいるが、妹の友達は最大の天敵。
俺の事をバカにするから
「エロ本どこに隠してんだよ!」「彼女いないの!? ださ!(笑)」「アニメなんか見ててマジキモイ」など、何度言われた事か... ...。
今もそうだが、俺はかなりのビビリで、電車で同じ車両に高校生が乗車してきたら、何もされていないのに別の車両に移動する事が癖になっていた程。
当然に、妹の友達に言い返す事も出来ずに醜態をさらし続けた。
AVのベタなシーンでバカにされた仕返しで、妹の友達を襲って今までの立場が逆転する、夢の設定があるが、現実はただただ悲惨。
妹の友達に発見されたくないという恐怖で、エロ本などは所有する事が出来ずに妄想でヌク事が得意になった。
そんな、恐怖の対象でしかない妹の友達に反応する兄貴など絶対にいない!
シルフは「こんな美少女が話しかけているのに何で返答しないの!」とご立腹な様子だが、俺からしてみればホワイトの兄貴は至極当然な反応なのだ。
「お兄さん! お話したい事があるんですけど、扉開けてくれません!?」
「... ...」
こいつは本当に兄貴の気持ちが分かってない。
兄貴が妹の友達と話したい訳がないって!
シルフは懲りずに話しかける。
「シルフ... ...。お兄ちゃん、今日は調子悪いみたい... ...」
ホワイトは露骨にこの場を去りたい、兄に会わせたくないという困った表情を浮かべる。
まあ、兄がニートなら友達に見せたくないか!
バカにされるのがオチだもんな!
それでいい!
そっとしておいてやれ!
「お兄さん! 私、王女なんですけど! 王女のシルフなんですけど!」
シルフはホワイトのか細い声が聞こえてるにも関わらず、無視して、兄貴に話しかける。
どうせ、後で「声が小さくて聞こえなかった」などと言ってしらばっくれるのだろう。
しかし、王女であることを明かしたにも関わらず、兄貴からの返答はない。
これは、筋金入りのニートだな... ...。
と俺は会ってもいないホワイトの兄貴を完全にニートだと決めつけていた。
「お兄さん! 私、年は17歳です! 髪は金髪で、白いドレスを着ています! ハッキリ言って美人だと自分でも思います!」
「... ...」
何を思ったのか、シルフは奇行に走る。
いきなり、自分の容姿を自画自賛して、それをホワイトの兄貴に伝えるという愚策。
こんなの自分に相当、自信がないと出来ない荒業。
俺は、自分の事を言われている訳ではないのに、すごく恥ずかしいと感じた。
ホワイトを見ると顔は赤くなり、額に汗を掻いている。
ホワイトも俺と同じように恥ずかしくなったんだろう。
そりゃ、そうだよ。
こんなに自分に自信がある人が隣にいるなんて恥ずかしいもん。
しかし、ホワイトの兄貴からの返事はない。
美人なだけじゃ、ダメかと思ったシルフは得意のエロ作戦に出た。
「お兄さん! 私、今、すごい露出度が高い服着てます! 足も腕も細いです!」
実際には白いドレスを着ているので、そこまで、露出度が高いわけではない。
そう、シルフは今、ブラフをかけているのだ。
そこで、男の心理として考えてみて欲しい。
17歳。王女。金髪。モデル体型。
この四つのワードが出た瞬間に、その姿を見たくはないだろうか?
_______俺なら見たい!
もう、17歳ってワードだけで俺なら扉を開ける。
今、扉の向こうで兄貴は葛藤しているだろう... ...。
そこにシルフは追い打ちをかけ。
「はあ~。大声出したら、喉が乾いちゃった! ホワイト! 水を貰えないかしら?」
シルフはホワイトに水を要求して、ホワイトは一度、水を取りに一階まで戻り、小さなコップをシルフに渡す。
その時、俺は巨人の家に小さなコップがある事に少しだけ疑問に思った。
ごくごくごくと器用に音を立てて、シルフは水を飲む。
しかし、水の大半は口に入らず、口の横を通り、こぼれた水はシルフの口元、首、肩をつたい、イジワルに白いドレスを濡らした。
濡れた事により、シルフの身に着けているピンク色のブラが透けて見え、白い肌にビタッと張り付いた白いドレスがシルフの豊満なバストをより強調する。
「シルフ! 服が濡れちゃってるよ!」
「あ~ん。やだ~。ブラも見えちゃってる」(棒読み)
このシュチュエーションを目の前にして、扉を開けない男がどこにいるだろうか!?
シルフはエロの天才かもしれん... ...。
俺はその光景を一秒でも見ていたくて、瞬きする事をやめた。もういっそ、
だが、ホワイトの兄貴が出てくる気配はない。
いや、だが、相当、我慢しているはずだ。
俺には分かる!!!!
もう、ドアノブに手をかけている事は間違いない!
あと、一押し!
一押しだー!!!!
そして、シルフは狙っていたかのように、最大の殺し文句をつかう。
「お兄さん。あたし、胸大きいんだよ」
それを言った瞬間に扉が少し開いた。
ようやく、ホワイトの兄貴とご対面だ。
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