さよなら女子寮、ようこそ女子寮

そして8月に入った。ツバキガールズは2期生の最終オーディションが終わり、これから2期生に誰が合格するのかを選考する。結果発表は8月中旬になるという。




8月の始めのある日、俺は朝から神奈川にある大学のグラウンドで練習試合をしていた。新チームでは1番ショートのレギュラーとなり、練習試合でも結果を出していた。そして帰宅した頃にはもう夜の8時前。メンバーはすでに仕事を終えて帰宅し、優衣姉と優里とともに夕食を食べていた。


そしてメンバーが夕食を食べ終え、これから風呂に入ろうとしていた時、そして俺がこれから夕食を取ろうとしていた時に親父が駆け込むように寮へやってきた。そして親父はある重大なことを言ったきたのだ。


「急な話ですまない。月末から一部の2期生がこの寮で生活する。よって、全寮制を解除する。実家から通えるメンバーは1週間以内に引っ越しの準備をして実家から通うように」


親父はそう言って寮を去った。そしてメンバー・優衣姉・優里は風呂に入り、俺は夕食を食べる。そして全員が風呂から出たことを確認して俺が風呂に入ろうとした時、安達・松永・尾崎に呼び出された。


安達「優くん、1年間ありがとう。これからは実家から通うことになります。仕事が忙しい時はこっちに泊まるかもしれないからその時はよろしくね」


松永「優っち、1年間ありがとう!これからは実家に通うけどずっと仲良くしていこうな~」


尾崎「相川くん、1年間ありがとう。これからは実家から通うことになるけど、変わらずによろしくね」


俺は3人にこう言われた後、風呂に入った。




そして1週間が経ち、麻衣さん・沙織さん・若葉さん・奈々さん・夏織さん・千早さん・明日香さんを除くメンバーが実家に戻った。中学生である凛ちゃんと花音ちゃんは2学期から地元の中学校に戻るらしい。


2期生の最終オーディションの結果発表もこの時期だった。15人が合格し、ツバキガールズは35人となる。合格者15人の顔写真とプロフィールは即日公式ホームページで公開された。そして2期生は9月に行われる初のワンマンライブでお披露目となる。




そして8月下旬、俺がちょうど部活を終え帰宅して間もなく、女の子の集団が「こんばんは~今日からお世話になります!」と言う声とともにやって来た。そして、その女の子の集団とともに親父がやってきた。


「優衣、優、優里。それに寮で生活をする1期生7人。今日からここで生活する2期生8人だ。じゃあ、お前ら頼むぞ」


と言って親父は去った。どうやら2期生15人中8人が入寮するようだ。そして夕食の時間に入る。今日は豪勢なパーティーだ。夕食中、俺・優衣姉・優里の自己紹介がそれぞれ行われる。


「相川優です。もうご存知かと思いますが、僕と姉の優衣、そして妹の優里の父親はSNミュージックの相川社長です。よろしくお願いします」


俺はそんな感じで自己紹介をし、優衣姉・優里も似たような自己紹介を行った。そしてお手伝いさん2人の早川さんと尾関さんの自己紹介も行われ、続いて1期生7人の自己紹介が行われた。そして、2期生8人の自己紹介。




メンバーの自己紹介が終わり、2期生の8人はそれぞれ自分がこれから生活する部屋に向かった。そして俺は部屋に入るメンバーを見つつ、風呂に入る。しかし、優衣姉・優里・早川さん・尾関さん、そして1期生7人と2期生8人がこの後風呂に入る。だから早いうちに風呂から出よう。


そして俺は風呂から出て、自分の部屋に戻った。時刻を見ると夜の9時すぎだった。俺は寝る準備の前に夏休みの課題をやった。なんとか間に合いそうだ。そして課題に区切りがつき、これから寝ようと思った時、ドアのノックの音がした。ドアをノックしたのは風呂から上がったばかりだという麻衣さんだった。そして麻衣さんは、


「優くん、ちょっと大切な話があるからちょっと時間いい?」


と俺に言った。それに対し俺は、


「大丈夫ですが何か・・・」


と言う。すると麻衣さんはこう言った。




「優くん、あなたのことが好きです。もちろん異性として。よかったら私と付き合ってください」




俺は麻衣さんのその言葉を聞き、一瞬時間が止まった。俺にとって真顔で告白されたのは初めてだ。それも自分より5歳も年上の女性だ。どう返事をしていいのかわからない。しかも麻衣さんは現役のアイドル。となると相当のリスクを覚悟して俺に告白したんだと思う。だったら告白の返事は・・・そして俺は、




「あの、ちょっと申し訳ないのですが・・・僕は麻衣さんのことを尊敬しています。でも、恋愛対象になるとどうかなって。しかも、麻衣さんはツバキガールズのリーダーですよね?現役アイドル、しかもリーダーが彼氏作ったらダメでしょ。だから今はちょっと無理ですね・・・」




と麻衣さんに言った。そして俺が出した返事に麻衣さんは、




「ありがとう。返事を聞けただけでも私は嬉しいわ。優くん、あんたは文字通り優しいね。私、もっと頑張るから・・・」




と涙を流しながら言って部屋を去った。

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